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!御注意下さい!
【八王子の方言(八王子弁)】と名を付けてはいるものの、八王子の一集落で生まれ育った人間の内の「ひとり」である祖母の口癖を集めただけですので、全てが『八王子全土で使われている方言』と言える根拠は全く御座いません。『方言でも何でもない祖母の造語』が混ざっている可能性も捨てきれませんので、その点ご了承の上お付き合い下さい。
また、言語に関する専門知識が皆無の人間によって纏められた為、勘違いや思い違いが有る可能性が大いに御座います。つまり、八王子中を調査した訳でも無く、素人が趣味の一環で制作した物ですので、【八王子の方言(八王子弁)】として学術的に御利用頂くのは絶対にお止め下さい。ただし、八王子の一地域の方言を話す一個人の資料として御参考頂く分には一向に構いません。お役に立てます様でしたら、どうぞ御自由に御活用くださいませ。(引用される場合など、御連絡を頂く等のお気遣いは不要です。)
※2011年6月12日追記:
祖母への調査を開始した所、「おじいさんが良く使って言っていた」「近所の人が使って話していたのを聞いた事がある」と祖母が証言する、【祖母の人生の中では使われて来なかった八王子弁】が多数出て来ました。“祖母の口癖を集めた”との文句を前提にした当資料ですが、しかし、八王子から一度も離れずに住み続けて来た祖母の記憶に残っている時点で、それらも「八王子弁」であると見なし同等の扱いで区別せずに掲載して参ります。祖母が生まれた1920年代以前の村民が使っていた「八王子の方言」を御紹介している部分も有ると言う事で、ぜひ、お楽しみ頂ければ幸いです。








(東京都八王子市西部地域の方言)



〜祖母(大正生まれ)の話し言葉〜


〜八王子弁のイントネーションについて〜

決定的な特徴は
文末(助詞 )に高いアクセントを取り発音する事です。
分かり易く御説明しますと、
「俺はやってない!やってないよぉ!」
と刑事に訴えている時の音程に近いです。


※「〜で。」「〜でえ。」「〜な。」「〜なあ。」「〜よ。」「〜よう。」「〜とよ。」


ご利用の際はぜひお試し下さい。

尚、助詞以外にも標準語とは違うアクセントを取る単語が多々あります。
音程を変換する能力を身に付けられたら、都度ご紹介して行きたいとは思っております。




*助動詞に現れる八王子弁




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「形容詞+かんべ」=「〜かろう」
「形容詞+かんべえ」=「〜かろう」
「動詞・形容詞・助動詞の連体形+だ」=「〜です」「〜ます」
「動詞・形容詞・助動詞の連体形+だあ」=「〜です」「〜ます」
「〜だあ」=「〜だ」
「〜だんべ」=「〜だろう」
「〜だんべえ」=「〜だろう」
「〜てえ」=「〜たい」(希望)
「〜ねえ」=「〜ない」(打消・否定)
「動詞(五段活用以外)の未然形+べえ」=「〜しよう」=「〜だろう」
「動詞の連体形+べ」=「〜しよう」「〜だろう」
「動詞の連体形+べえ」=「〜しよう」「〜だろう」
「〜めえ」=「〜まい」(打消の推量・意思)
「過去・完了の動詞+んべ」=「〜たろう」「〜だろう」
「過去・完了の動詞+んべえ」=「〜たろう」「〜だろう」





「形容詞+かんべ」
  =「〜かん+べ」
  =「〜かろ+う」(形容詞の未然形「かろ」+推量の助動詞「う」)
  =「〜かろう」
「形容詞+かんべえ」
  =「〜かん+べえ」
  =「〜かろ+う」(形容詞の未然形「かろ」+推量の助動詞「う」)
  =「〜かろう」

  ★
  ★
  ★
  ★

「踊りが美しかろう?」「むしろ可笑しかろう」などの、「〜かろう」の意味。
「〜かろう」とほぼ同じイントネーションの用法で発音します。
「形容詞+かんべ」の後ろには助詞「な」を付けて言う事が出来ます。
「形容詞+かんべえ」の後ろには助詞「な」「よ」を付けて言う事が出来ます。

使用例:





使用例:



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使用例:






使用例:

「おんなしボタンは(同じボタンは)
  ねえからよ
(無いからさ)
    似たのを
      ぬいっつけときゃあ
(縫い付けておけば)
        よかんべ?(良かろう?)

「あつかんべ(熱かろう)
  火傷すっから(火傷するから)
    気い付けて
(気を付けて) 飲め」

「今年の夏は
  あつかんべ
(暑かろうな)

「うらっかたの(裏の方の) 部屋は
  涼しかんべえ
(涼しかろう?)
    今夜は あたしも
      あっち行って 寝るだ
(寝るです=寝ます)

「その煎餅は
  かるかんべえ
(軽かろう)
    舐めてりゃ(舐めていれば)
      歯が なくっても
(無くても)
        食えらあ
(食べられるわ)

「たぶん
  送迎会ん時の
(送迎会の時の)
    写真だあな
(写真だな)
      10年前っちゅうと(10年前と言うと)
        みんな まだ
          わかかんべえ
(若かろうな)

「ゴムん所がな(ゴムの所がね)
  伸び切っちまってる(伸び切ってしまっている)
    みてえだからよ(みたいだからさ)
      このまんまで(このままで)
        はくんじゃあ
(履くのでは)
          ゆるかんべえ
(緩かろうよ)

「子供等が 珍しく
  おとなしかんべえ
(大人しかろう)
    ついさっき
      ひっちかってやったんだあ
(叱ってやったのだ)





「動詞・形容詞・助動詞の連体形+だ」=「〜です」「〜ます」
「動詞・形容詞・助動詞の連体形+だあ」
=「〜です」「〜ます」

  ★


  ★






  ★

「ステップが軽いです」「高く跳びます」などの、「〜です」「〜ます」の意味。
「軽いだ(だあ)」は「軽いです」と訳し、
「跳ぶだ(だあ)」は「跳ぶです」から「跳ます」と変換する事になります。
連体形の後に「だ」が続くので、
軽いのだ」「跳ぶのだ」(準体助詞『の』+助動詞『だ』)と訳したくなるのですが、
『の』が抜けているため微妙にニュアンスが違います。
(八王子弁での「〜のだ」の表現は「軽い」「跳ぶ」になります。)
【形容動詞の終止形】の様に、
『だ』の意味である【断定】の含みが前面に強く出る表現なので、
丁寧語の【断定】助動詞『です』『ます』が一番しっくり納まる訳だと思います。
「動詞・形容詞・助動詞の連体形+だあ」の後ろには
助詞「で」「でえ」「な」「なあ」「よ」「よう」を付けて言う事が出来ます。

使用例:


使用例:



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使用例:



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使用例:


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使用例:

「長居させて もらったあよう(貰ったよ)
  そろそろ 行く(行くです=行きます)

「筆じゃねえと(筆でないと)
  いけねえんだとよ
(いけないのだとさ)
    お袋に 書かせる(書かせるです=書かせます)

「お父さん
  おけえり
(お帰り)
    ご飯にすっか?(お食事にしますか?)
「うーん、
  風呂へ
    へえってっから
(入ってから)
      食う(食うです=食います=食べます)

「こりゃあ(これは) 駄目だ
  素手じゃあ
(素手では)
    あかねえだあ(開かないですよ)
「あんだよ
(何だよ)仕方ねえな(仕方ないな)
  ほいじゃあ(それでは)
    バールの様な 物を

      探して 持って来る(持って来るです=持って来ます)

「座りっぱなしで
  足が なまっちまうから
(鈍ってしまうから)
    歩くだあ(歩くです=歩きます)

「美味い ラーメン 食って(食べて)
  満足したから もう 寝るだあ(寝るです=寝ます)

「おれだって
  料理くれえは
(料理ぐらいは)
    するだあ(するですぜ=しますぜ)

「教えて貰えるんなら(教えて貰えるのなら)
  俺だって 知りてえだあ(知りたいです)

「こりゃあ(これは)
  薄くっていいや
(薄くていいわ)
    こいなら(これなら) 夏でも
      着れるだあ
(着れるですね=着れますね)

「おめえが(あなたが)
  入れてくれたあ
(入れてくれた)
    コーヒーは
      偉く 苦いだあなあ
(苦いですね)

「ヒヨドリが
  柿を みんな
    食っちまっただあよう
      
(食ってしまったですよ=食ってしまいましたよ)
        憎らしいよ!」





「〜だあ」=「〜だ」

  ★

  ★

「自慢の踊り」「興味は無いの」などの、「〜だ」の意味。
標準語と使い方は同じです。
後ろに助詞「な」「なあ」「で」「でえ」「よ」「よう」を付けて言う事が出来ます。

使用例:

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使用例:


「今晩は 寿司だあ(寿司だ)」 (ノ≧▽≦)ノ テッテレー!

「もう一枚 あにっか(何か) 羽織れば
  ぬくいんだあ
(温かいのだな)

「こうしてみな(この様にしてみなさい)
  正座 してえる時は(している時は)
    こうしてっと
(こうしていると)だあ(楽だぜ)

「よってきゃ(寄って行けば) いいのに
  ちゃあも
(お茶も) 飲まねえで(飲まないで)
    かいっちまったんだあでえ(帰ってしまったのだぜ)

「ありゃあ(あれは)
  あたしの ひ孫だあ
(曾孫だよ)
    美人だんべ(美人だろう)
      あたしに 良く にてらあ(似ているわ)

「お父さん
  テレビ変えても いいか?
    9時っからやる
(9時から始まる) 映画を
      どうしても 観てえんだあ
(観たいのだよ)
 よう(ねえ) もう いいじゃんかよう(良いではないかなあ)
   どうせ 巨人が 勝つに 決まってやあ
(決まってるわ)





「〜だんべ」=「〜だん+べ」
  =「〜だろ+う」(【断定】の助動詞「だ」の未然形+【推量】の助動詞「う」)
  =「〜だろう」

「〜だんべえ」=「〜だん+べえ」
  =「〜だろ+う」(【断定】の助動詞「だ」の未然形+【推量】の助動詞「う」)
  =「〜だろう」

  ★
  ★
  ★
  ★

「良い踊りだろう?」「失敗したのだろう」などの、「〜だろう」の意味。
「〜だろう」とほぼ同じイントネーションの用法で発音します。
後ろに助詞「よ」「よう」「な」「なあ」を付けて言う事ができます。
「〜だろう」を意味する八王子弁は他に
動詞(五段活用以外)の未然形+べえ
動詞の連体形+べ」「動詞の連体形+べえ
があります。

使用例:


使用例:






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「天井裏を 走ってんのは(走っているのは)
  多分 ネズミだんべ(ネズミだろうな)

「院長先生が
  病気したって
(病気をしたと=病気になったと)
    聞いたあで(聞いたぜ)
「あによう
(何よ)
  ほいじゃあ(それでは) 当分は
    休診だんべえ
(休診だろう?)

「あの おじいさんよ(おじいさんさ)
  年寄り扱いするな!
    って 怒ってたあけんど
(怒っていたけれど)
 その内 疲れて
   ぜってえ
(絶対) 座るだんべ(座るだろ)

「先生の説じゃあな(説ではね)
  勇気と努力が ありゃあ(有れば)
    あんでも(何でも) できるんだとよ(出来るのだとさ)
      だあから(だから) 飛べるだんべえ(飛べるだろう)
        高すぎっけど(高すぎるけど)
          しんぺえすんな
(心配するな)

「沖縄に 行ったっちゅうと(行ったというと)
  海で 泳いだんだんべえ(泳いだのだろう?)

「紐を 腰い(腰に) 巻きっつけただけで(巻き付けただけで)
  橋の上から 跳んだんだんべえ(跳んだのだろう?)
    バカか おめえは(お前は)

「舌を 噛んだんだんべえ(噛んだのだろう)
  食いながら くっちゃべっから(喋るから)
    そう言う事に ならあ(なるんだわ)

「おめえの事だからよ(お前の事だからさ)
  どうせ いつもみてえに(何時もみたいに)
    よそみしてえて
(余所見をしていて)
      転んだんだんべえ(転んだのだろう)

「笑ってらあ(笑っているわ)
  いい物を うんと(沢山) 食ったんだんべえ(食ったのだろう)

「落書きが
  いっぱい してあらあな
(して有るわな)
    閉じ込められて
      相当 暇だったんだんべ
(暇だったのだろうな)

「おめえの(お前の) 力量じゃあよ(力量ではさ)
  今 かけえてる(抱えている) 仕事だけで
    いっぺえいっぺえだんべ
(一杯一杯だろう)

「やったあ仕事を(やった仕事を)
  見りゃあ
(見れば) 分からあ(分かるわ)
    お宅の旦那さんは
      相当 まめだんべえ
(忠実だろう?)

「そりゃあ(それは)
  採っちゃあいけねえよ(採ってはいけないよ)
    まだ 青いだんべ(青いだろう)
      あけえのなら(赤いのなら)
        採ってもいいで(採っても良いよ)

「子供が 騒がしいだんべ(騒がしいだろう?)
  友達い(友達を) 呼んで
    パーティーを やってんだあよ
(やっているのだよ)

「ねえだんべ(無いだろう?)
  あたしも(私も) さんざっぱら(散々)
    探したんだけんど(探したのだけれど)
      めっからねえんだよ(見つからないのだよ)

「どんどん 燃え広がってる らしいで(らしいぜ)
  運が わりいや(悪いわ)
    あの 強風じゃあ
(強風では)
      たちまちだんべえ(忽ちだろう)

「その前は
  何時 来たっけか
(来たっけ?)
    随分と しばらくだんべ(暫くだろう)

「姉ちゃんが 東京へ
  行っちまってからだんべ
(行ってしまってからだろう?)
    犬の様子が おかしくなったのはよ(おかしくなったのはさ)

「まただんべえ(まだだろう)
  いいよ ほっとけよ(放っとけよ)
    ほおっときゃあ(放っておけば) 治まらあ(治まるわ)

【余談】
関東地方の若い世代(1970年〜1980年代生まれ以降)が使っている言葉に、
「名詞+だべ」(例えば、「犬だべ」=「犬だろ」=「犬だろう」)
「形容詞+」(例えば、「はええ」=「速いだろ」=「速いだろう」)
「打消・否定+」(例えば、「やらねえ」=「やらないだろ」=「やらないだろう」)
という言い方(若者言葉?方言?)があるのですが、

名詞、形容詞、打消・否定の句を前に置いて
「〜だろ」(または「〜だろう」)と言う文を八王子弁で表現する場合は、
「犬だんべ」(または「犬だんべえ」)
「はええだんべ」(または「はええだんべえ」)
「やらねえだんべ」(または「やらねえだんべえ」)
と言います。

八王子弁には
「名詞+だべ」「形容詞+」「打消・否定+」という言い方自体が存在しません。





「〜てえ」=「〜たい」(希望)

  ★
  ★
  ★

  ★

「もっと踊りたい」「叱られたいのか?」などの、「〜たい」の意味。
「〜たい」とほぼ同じイントネーションの用法で発音します。
後ろに助詞「な」「なあ」「で」「でえ」「や」「よ」「よう」を付けて
言う事が出来ます。
後ろに助動詞「だ」「だあ」「だんべ」「だんべえ」を付けて言う事が出来ます。

使用例:

使用例:


使用例:

「くれるんなら(呉れるのなら) 貰いてえ(貰いたい)

「薬局に 寄りてえから(寄りたいから)
  あるってくだ(歩いて行くです=歩いて行きます)

「赤飯でも 炊きてえ(炊きたいな)
  ほいから(それから) 金平も 作りてえ(作りたいわ)





「〜ねえ」=「〜ない」(打消・否定)

  ★
  ★
  ★

  ★

「踊らない」「別に勧めない」などの、「〜ない」の意味。
「〜ない」とほぼ同じイントネーションの用法で発音します。
後ろに助詞「な」「なあ」「で」「でえ」「や」「よ」「よう」を付けて
言う事が出来ます。
後ろに助動詞「だ」「だあ」「だんべ」「だんべえ」を付けて言う事が出来ます。

使用例:

使用例:

使用例:

使用例:

「知らねえ(知らないよ) 知らねえ(知らない)

「あいつだけは 呼べねえ(呼べないな)

「ちっとも 取れねえだあよう(取れないですよ)

「大して うまかねえ(旨くはないや)





「動詞(五段活用以外)の未然形+べえ」
  =「〜し+べえ」
  =「〜し+よう」(動詞(五段活用以外)の未然形+【推量】の助動詞「よう」)
  =「〜しよう」
  =「〜だろう」

  ★


  ★
  ★
  ★

「彼は自分の踊りを世界に広めよう」「誰もが彼の踊りを忘れよう」などの
【推量】「〜だろう」の意味。
標準語の助動詞「よう」と同じ用法で使われます。
「〜しよう」とほぼ同じイントネーションの用法で発音します。
後ろに助詞「よ」「よう」「な」「なあ」を付けて言う事ができます。
「〜だろう」を意味する八王子弁は他に
〜だんべ」「〜だんべえ
動詞の連体形+べ」「動詞の連体形+べえ
があります。

使用例:

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「寒くなれば 着べえ(着よう=着るだろう)

「おめえんとこじゃあ(あなたの家では)
  ニンジンも 一緒に 煮べえ?(煮よう?=煮るだろう?)

「子供が 片付けべえ(片付けよう=片付けるだろう)

「朝一で 行きゃあ(行けば)
  見られべえ(見られよう=見られるだろう)

「そいだけ(それだけ) 言やあ(言えば=諭せば)
  諦めべえ(諦めようよ=諦めるだろうよ)

「臭いを 嗅がせりゃあ(嗅がせれば)
  流石に 起きべえ(起きような=起きるだろうな)

「上がり切ったら 下りべえ(下りよう=下りるだろう)

「今から でやあ(出れば)
  暗くなるめえには(暗くなる前には)
    帰れべえ(帰れよう=帰れるだろう)

「夕方まで
  そこに 居べえ?
(居よう?=居るだろう?)
    あたしも そけえ(そこへ)
      行く予定が あっからよ(あるから)
        少し 会おうや(会おうよ)

「お宅だって(あなたの家だって)
  7時には お夕飯に すべえ?(しよう?=するだろう?)

「歩きたかねえって(「歩きたくはない」って言って)
  あの調子じゃあ すぐに
    ハイヤーでも 停めべえ
(止めような=止めるだろうな)

「怪しい人が くりゃあ(来れば) 吠えべえ(吠えよう=吠えるだろう)

「嬉しがって
  向こうっから
(向こうから)
    貰いに くべえ(来ようよ=来るだろうよ)

「もらってったけどよ
  
(貰って行ったけれどさ=受け取って行ったけれどさ)
    植える庭がねえって(植える庭が無いって)
      言ってたあから(言っていたから)
        多分 鉢にでも 植えべえ(植えよう=植えるだろう)

「あの人は
  ひょうきんだからな
(ひょうきんだからね)
    まずは 頭に
      乗せてみべえ
(乗せてみような=乗せてみるだろうな)





「動詞の連体形+べ」=「〜する+べ」
  =「〜し+よう」
   (五段活用の未然形+【意志】【推量】の助動詞「う」)
   (五段活用以外の未然形+【意志】【推量】の助動詞「よう」)
  =「〜しよう」「〜だろう」

「動詞の連体形+べえ」=「〜する+べえ」
  =「〜し+よう」
   (五段活用の未然形+【意志】【推量】の助動詞「う」)
   (五段活用以外の未然形+【意志】【推量】の助動詞「よう」)
  =「〜しよう」「〜だろう」

  ★

  ★






  ★

  ★
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「踊ろう」「踊りを止めさせよう」などの、
「〜しよう」の意味。(推量「〜だろう」の意味も表現できる。)
標準語の場合、
助動詞「う」「よう」が続く未然形の動詞・助動詞を前に置いて使いますが、
八王子弁では全ての動詞・助動詞で連体形を前に置きます。
(よって、八王子弁が素直に訳せない場合があります。)
※標準語と同じように、
未然形を前に置いて「べえ」と繋げ表現する八王子弁が別に有ります。
動詞(五段活用以外)の未然形+べえ
イントネーションは単調か、またはアクセントを「べ」に高く取って発音し、
下がり調子で発音する表現はしません。
後ろに助詞「よ」「よう」「な」「なあ」を付けて言う事ができます。
「〜だろう」を意味する八王子弁は他に
〜だんべ」「〜だんべえ
動詞(五段活用以外)の未然形+べえ
があります。

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「みんなで ここに 座ん(座ろう
「疲れたら 座ん(座るだろう

「ほいじゃあ(それでは) 食うべえ(食べよう
「おいときゃあ(置いておけば) 食うべえ?(食べるだろう?)

「お客が けえったから(帰ったから) 片付けん(片付けよう
「注意すりゃあ(注意すれば) 片付けん(片付けるだろう

「長居しちまった(長居してしまった) そろそろ けえる(帰ろう
「お母さんが 迎えに くりゃあ(来れば) けえるべえ(帰るだろう

「バスが 行っちまうから(行ってしまうから) 急ぐべえ(急ごうよ)
「ベルが 鳴り出せば 急ぐべえ(急ぐだろうよ)

「犬に 餌を くれてやんべえ(呉れてやろう=あげよう)
「お父さんが 餌を くれてやんべえ(呉れてやるだろう=あげるだろう)

「お夕飯に すんべえ(しよう
「必要になったら すんべえ(するだろう)」

「ハイヤーでも 呼ぶべえ(呼ぼうよ)
「多分 友達を 5人は 呼ぶべえ(呼ぶだろうな)

「たまには ポチと 一緒に 吠えるべえかな(吠えようかな)
「その犬は 吠えるべえ?(吠えるだろう?)

「閉店まで 居んべえ(居ようと) 思ってんのよ(思っているの)
「そけえらに(そこいらに) 居んべえ?(居るだろう?)

「やっと 借りられたあでえ(借りられたぜ)
        今日中に 観んべえ
(観よう
「コメディーなら 観んべえ?(観るだろう?)

「あにが(何が) 生えてくっかな(生えて来るかな?)
        早速 植えてみんべえ
(植えてみよう
「おめえも(お前も)
  一緒に 食ってみんべえ?(食ってみるだろう?)

【余談】
関東地方の若い世代(1970年〜1980年代生まれ以降)が使っている言葉に、
乗る」(乗るだろう)「泳ぐ」(泳ぐだろう
という言い方(若者言葉?方言?)があるのですが、

八王子弁で「〜だろう」の直訳に当たるのは
「乗るだんべ」「泳ぐだんべ
になります。

また、八王子弁で「乗る」「泳ぐ」と言った時には、
直訳すると「ろう」「ごう」の意味になるのですが、【推量】助動詞の性質上、
「乗るだろう」「泳ぐだろう」の意味で使う事も出来ます。
(どちらの意味で使っているかは、その場の状況で判断出来ます。)

尚、若い世代は」の「」を
「乗るだろ」「泳ぐだろ」と同様のイントネーションで低く発音しますが、
八王子弁では
「乗ろう」「泳ごう」と同様のイントネーションで
」を平坦、または「」を高く発音します。

【余談】
八王子弁の中には、【助動詞「べえ」】とは別に
「〜ばかり〜」の意味を持つ【助詞「〜べえ〜」】があります。
助動詞と助詞の「べえ」両方を
一つの文章に入れて使うと次のようになります。

「犬が吠えてべえいるべえ?」(犬が吠えてばかりいるだろう?)
「ちいっとべえ貰うべえ」(少しくらいおう)。






「〜めえ」=「〜まい」(打消の推量・意思)

  ★
  ★

「もう踊るまい」「冗談じゃあるまい?」などの、「〜まい」の意味。
「〜まい」とほぼ同じイントネーションの用法で発音します。

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「どうせ きやしめえ(来はしまい)

「そんなあ(そんな) やり方じゃあ(やり方では)
  何時まで経っても 片付きゃあしめえ(片付きはしまい)

「一人でなんか 行きゃあしめえ?(行きはしまい?)
  危ねえから(危ないから) 男を一人 連れてけ(連れていけ)

「よっぽどの事でもなきゃあ(余程の事でも無ければ)
  ぼっこわれたりなんか(壊れたりなんか)めえ(しまいよ)

「そんな ハイカラなあ物(ハイカラな物)
  うちには 有りゃしめえ(有りはしまい)

「食ったら(食べたら) 舌が
  ピリピリするんだけんど
(ピリピリするのだけれど)
    まさか 腐っちゃいめえ?(腐ってはいまい?)

「謝った方が いいって言うけんど(言うけれど)
  大して 怒っちゃいめえ?(怒ってはいまい?)

「大して ハゲちゃいめえ?(禿げてはいまい?)

「こないだ(この間)
  預けたやつだけんどよ(預けた物だけれどさ)
    まさか
      売っちゃちゃあ
(売ってしまっては)
        いめえよな(いないよね)

「奥には あんめえ?(有るまい?)
  おかしいな(変だな)
    手前っかたに(手前の方に)
      置いといた はずなんだけんどなあ(はずなのだけれどな)

「そんなあ(そんな) 昔の物
  蔵ん中にだって
(蔵の中にだって) 有るめえ(有るまいよ)

「盗まれたんじゃあ(盗まれたのでは) あんめえ?(あるまい?)





「過去・完了の動詞+んべ」
  =「〜た+ん+べ」「〜だ+ん+べ」
  =「〜たろ+う」「〜だろ+う」
   (【過去・完了】の助動詞「た」「だ」の未然形+【推量】の助動詞「う」)
  =「〜たろう」「〜だろう」

「過去・完了の動詞+んべえ」
  =「〜た+ん+べえ」「〜だ+ん+べえ」
  =「〜たろ+う」「〜だろ+う」
   (【過去・完了】の助動詞「た」「だ」の未然形+【推量】の助動詞「う」)
  =「〜たろう」「〜だろう」

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「踊りきったろう?」「転んだろう」などの、
過去・完了の動詞に繋がる「〜たろう」「〜だろう」の意味。
「〜たろう」「〜だろう」とほぼ同じイントネーションの用法で発音します。
後ろに助詞「よ」「よう」「な」「なあ」を付ける事ができます。

使用例:



使用例:


使用例:


使用例:


使用例:


使用例:



使用例:


使用例:


使用例:

「もう 行っちまったんべ(行ってしまったろう)
  別に 急ぐこたねえや(急ぐ事は無いわ)
    次のに(時発のバスに) 乗ったって 十分 間に合うからな」

「うめえとって(美味いと言って)
  全部 飲んだんべ(飲んだろう)

「風が 強かったんべ?(強かったろう?)
  髪が ボサボサだあで(ボサボサだぜ)

「砂糖を いっぺえ(いっぱい) 入れて 煮たんべ(煮たろう)
  こりゃあ(これは) 甘すぎて 食えねえよ(食べられないよ)

「夜が 明けたんべ(明けたろう)
  さあ 出掛けるだ(出掛けるです=出掛けます)

「はくらんけいに(博覧会に) 行ったの?
  おもしれえもんが
(面白い物が)
    いっぺえ(いっぱい) あったんべえ(有ったろう)

「誰も 来ねえんじゃ(来ないのでは)
  一人で 暇だったんべ(暇だったろう)

「おめえだって(あなただって)
  子供の頃は 裏山で 遊んだんべ?(遊んだろう?)

「転んだんべ(転んだろう)
  背中に 泥が ついてっから(付いているから)
    隠しても 分からあ(分かるわ)

【余談】
関東地方の若い世代(1970年〜1980年代生まれ以降)が使っている言葉に、
帰った」(帰った=帰ったろう=帰っただろう)
踏んだ」(踏んだ=踏んだろう=踏んだだろう)
という言い方(若者言葉?方言?)があるのですが、

八王子弁で「過去・完了の動詞+」(または「過去・完了の動詞+ろう」)を表現する時は
「帰ったんべ」(または「帰ったんべえ」)
「踏んだんべ」(または「踏んだんべえ」)
と言います。

八王子弁には「帰った」「踏んだ」という言い方自体が存在しません。






 






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