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!御注意下さい!
【八王子の方言(八王子弁)】と名を付けてはいるものの、八王子の一集落で生まれ育った人間の内の「ひとり」である祖母の口癖を集めただけですので、全てが『八王子全土で使われている方言』と言える根拠は全く御座いません。『方言でも何でもない祖母の造語』が混ざっている可能性も捨てきれませんので、その点ご了承の上お付き合い下さい。
また、言語に関する専門知識が皆無の人間によって纏められた為、勘違いや思い違いが有る可能性が大いに御座います。つまり、八王子中を調査した訳でも無く、素人が趣味の一環で制作した物ですので、【八王子の方言(八王子弁)】として学術的に御利用頂くのは絶対にお止め下さい。ただし、八王子の一地域の方言を話す一個人の資料として御参考頂く分には一向に構いません。お役に立てます様でしたら、どうぞ御自由に御活用くださいませ。(引用される場合など、御連絡を頂く等のお気遣いは不要です。)
※2011年6月12日追記:
祖母への調査を開始した所、「おじいさんが良く使って言っていた」「近所の人が使って話していたのを聞いた事がある」と祖母が証言する、【祖母の人生の中では使われて来なかった八王子弁】が多数出て来ました。“祖母の口癖を集めた”との文句を前提にした当資料ですが、しかし、八王子から一度も離れずに住み続けて来た祖母の記憶に残っている時点で、それらも「八王子弁」であると見なし同等の扱いで区別せずに掲載して参ります。祖母が生まれた1920年代以前の村民が使っていた「八王子の方言」を御紹介している部分も有ると言う事で、ぜひ、お楽しみ頂ければ幸いです。








(東京都八王子市西部地域の方言)



〜祖母(大正生まれ)の話し言葉〜


〜八王子弁のイントネーションについて〜

決定的な特徴は
文末(助詞 )に高いアクセントを取り発音する事です。
分かり易く御説明しますと、
「俺はやってない!やってないよぉ!」
と刑事に訴えている時の音程に近いです。


※「〜で。」「〜でえ。」「〜な。」「〜なあ。」「〜よ。」「〜よう。」「〜とよ。」


ご利用の際はぜひお試し下さい。

尚、助詞以外にも標準語とは違うアクセントを取る単語が多々あります。
音程を変換する能力を身に付けられたら、都度ご紹介して行きたいとは思っております。




*助詞に現れる八王子弁




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「形容詞の連用形+か」=「〜くは」
「助動詞・希望【たい】の連用形+か」=「〜たくは」
「助動詞・推量【らしい】の連用形+か」=「〜らしくは」
「〜くれえ」=「〜くらい」
「〜ぐれえ」=「〜ぐらい」
「じゃ」=「では」
「じゃあ」=「では」
「〜ちゃ」=「〜ては」
「〜ちゃあ」=「〜ては」
「〜っけか?」=「〜っけ?」
「〜で」=「〜ぜ」
「〜でえ」=「〜ぜ」
「〜とって」=「〜といって」
「〜とよ」=「〜とさ」
「〜な」=「〜な」
「〜なあ」=「〜な」
「〜にゃ」=「〜には」
「〜にゃあ」=「〜には」
「〜ばかし」=「〜ばかり」
「〜べえ〜」=「〜ばかり〜」
「〜べえで〜」=「〜ばかりで〜」
「副詞+べえ〜」=「〜ばかり〜」
「助動詞の仮定形+や」=「〜れば」
「助動詞の仮定形+やあ」=「〜れば」
「助動詞の仮定形+りゃ」=「〜れば」
「助動詞の仮定形+りゃあ」=「〜れば」
「動詞の仮定形+ゃ」=「すれば」
「動詞の仮定形+ゃあ」=「すれば」
「動詞の仮定形(上一段、下一段活用のみ)+や」=「すれば」
「動詞の仮定形(上一段、下一段活用のみ)+やあ」=「すれば」
「形容詞の仮定形+ゃ」=「〜ければ」
「形容詞の仮定形+ゃあ」=「〜ければ」
「形容詞の仮定形+や」=「〜ければ」
「形容詞の仮定形+やあ」=「〜ければ」
「助動詞の連用形+ゃ」=「〜は」
「助動詞の連用形+ゃあ」=「〜は」
「助動詞の連用形+や」=「〜は」
「助動詞の連用形+やあ」=「〜は」
「動詞の連用形+や」=「しは」
「動詞の連用形+やあ」=「しは」
「動詞の連用形・五段活用(一部を除く)+ゃ」=「しは」
「動詞の連用形・五段活用(一部を除く)+ゃあ」=「しは」
「〜よう」=「〜よ」





「形容詞の連用形+か」=「〜くは」
  ※後ろに必ず「〜ない」「〜あるまい」の否定文が続きます。

  ★

「美しくはない」などの、「〜くは」の意味。使い方は標準語と同じです。

使用例:



使用例:



使用例:


使用例:

「割り勘をよ(割り勘をさ)
  一円まで 等分に 分けたんだあでえ(分けたのだぜ)
    こまっかねえか?(細かくはないか?)

「別に 羨ましねえけんど(羨ましくはないけれど)
  どんなもんか(どんな物か)
    一度は みしてもらいてえな(見せてもらいたいね)」

「こんな 年にも(年齢にも) なりゃあな(なればね)
  誕生日が 来たって 別段 めでたねえよ(目出度くはないよ)

「この 服で 出掛けたって
  おかしあんめえ?
(可笑しくはあるまい?)





「助動詞・希望【たい】の連用形+か」=「〜たくは」
  ※後ろに必ず「〜ない」「〜あるまい」の否定文が続きます。

  ★

「踊りをやめたくはない」などの、「〜くは」の意味。使い方は標準語と同じです。

使用例:

「本当は 会いたねえんだ(会いたくはないのだ)
  おめえだって(お前だって)
    正直 会いたあんめえ?(会いたくはあるまい?)





「助動詞・推量【らしい】の連用形+か」=「〜らしくは」
  ※後ろに必ず「〜ない」の否定文が続きます。

  ★

「リーダーらしくはない踊りだった」などの、「〜くは」の意味。
使い方は標準語と同じです。

使用例:

「流石に あの子らしねえな(あの子らしくはないね)
  あにも(何も) 喉を 通らねえって(通らないって)
    好物の ポテトチップスも
      食わねえなんてよ
(食べないなんてさ)





「〜くれえ」=「〜くらい」
「〜ぐれえ」=「〜ぐらい」

  ★

「逆立ちで踊るくらい訳は無い」「そんな自慢をするのは君ぐらいだ」などの、
「〜くらい」の意味。使い方は標準語と同じです。

使用例:

「おめえよう!(お前よ!)
  2〜3百万ぐれえで メソメソ すんなあ!(するな!)
↑オレオレ詐欺の電話に対応した祖母の実際のセリフ。

使用例:


使用例:

「あんときぐれえ(あの時ぐらい)
  困ったこたあ(困った事は) 無かったな」

「残したって かまやしねえんだ(構いはしないのだ)
  無理に 食うこたねえよ(食う事は無いよ)
    そんくれえ(そのくらいで) やめとけ」





「じゃ」=「では」
「じゃあ」=「では」

  ★

「スリッパでは踊れない」「では裸足で踊れ」などの、「では」の意味。
使い方は標準語と同じです。

使用例:




使用例:




使用例:




  使用例:




  使用例:



  使用例:

「よう!(おい!)
  走るんじゃあねえよう!(走るのではないよ!)
    ここの 廊下は すべっから
(滑るから)
      転ぶでえ!(転ぶぜ!)

じゃあよう(ではさ)
  キュウリと ニンジンを
    にほんつ
(二本ずつ)
      くれっか?
(くれるか?)

じゃあ(ではまたね)
  気い付けて(気を付けて) けえれよ(帰れよ)
    じでんしゃじゃ(自転車では)
      家まで 1時間は 掛かるだんべ(掛かるだろう)

「今時分に 出掛けたんじゃあ
  道が 混んでて
    捕まっちまうんじゃねえか?

      (渋滞に捕まってしまうのではないか?)

じゃあ 言わせて もらうけんどよう(もらうけれどさ)
  おめえだって(お前だって)
    言う程の 男前って訳でも ねえじゃねえか(ないではないか)

「山田さんが 居た頃は
  一緒に 茶を 飲んじゃあ
    ばかっぱなししたり
(馬鹿話をしたり=下らない話をしたり)
      歌あ(歌を) 歌ったりして
        まいんち
(毎日) 楽しかったな」





「〜ちゃ」=「〜ては」
「〜ちゃあ」=「〜ては」

  ★

「集まっては皆で踊った」「集会を認めてはいない」などの、「〜ては」の意味。
使い方は標準語と同じです。

  使用例:


  使用例:

  使用例:

  使用例:

「走っちゃ 危ねえから(危ないから)
  ゆっくり あるってけ(歩いて行け)

「本人は 知っちゃ いねえだんべ(いないだろう)

「すぐには 貸しちゃあ くれねえんだとよ(くれないのだとさ)

「人と 比べちゃあ
  不満べえ言って
(不満ばかり言って)
    損な 性格だな」





「〜っけか?」
  =「過去を思い出す終助詞【け】+疑問の終助詞【か】?」
  =「〜っけ?」

  ★

  ★


「あの舞台で踊ったっけ?」「あれって舞台だったっけ?」などの、
「〜っけ?」の意味。使い方は標準語と同じです。
一般的には、単純に「〜っけ」に疑問符「?」をつければ
同様の意味が成立する言葉ですが、
八王子弁では「〜っけ?」の様に「け」で言い終わる使い方はあまりしません。
疑問を投げかける時は「〜け?」と言い、
単に思い出話をする時は「〜っけ」の後ろに「なあ」を付けて
「〜っけなあ」と言います。
ちなみに、自問する時は「〜っけかなあ?」と言います。

  使用例:








  使用例:





  使用例:


  使用例:

「よう(ねえ)
  こないだ(この間)
    土産に くれたあ(呉れた)
      麺はよ(麺はさ)
        煮て食うもんだっけか?
          ああ やっぱり ほうだったか(そうだったか)
            もう おせえや(遅いわ)
              生で 食っちまったあ(食べてしまった)

「ええ〜と、
  どけへ
(どこへ) しまったっけかなあ
    でえじなもんじゃあ
(大事な物では) ねえから(無いから)
      かくしゃあしねえ(隠しはしない)
        はずなんだけんど(はずなのだけれど)

「小学校って こんな 山奥だったっけか?
  忘れちまったあ
(忘れてしまった)

「確か てえへんな騒ぎだったよな(大変な騒ぎだったよね)
  そういやあ(そう言えば) あの後
    めっかったんだっけか?
(見つかったんだっけ?)





「〜で」=「〜ぜ」
「〜でえ」=「〜ぜ」

  ★
  ★

「踊る」「恥だ」などの、「〜ぜ」の意味。用法は「〜ぜ」と全く同じです。
イントネーションが標準語の「〜ぜ」の用法と違い、
常に「で」「でえ」に高いアクセントを付けて発音します
(相手に訴えかける感じのイントネーション)。
標準語の「〜ぜ」のように、「ぜ」を低く発音するイントネーションでは使いません。

  使用例:



  使用例:










  使用例:




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  使用例:



  使用例:










  使用例:

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「ほっつきあるってねえで(うろつき歩いていないで)
  早く けえれよ!(帰れよ!)
    もう 夜だあでえ(夜だぜ!)

「今 行ったあのが(行ったのが=走り去ったのが)
  奥さんとこに(奥さんの家に)
    荷物 持ってったあ(荷物を持って行った)
      車だあ(車だぜ)
「あによ!
(何よ!)
  ほいじゃあ(それでは)
    今 おっかけやあ(追い駆ければ)
      おっつくかもしれねえな!(追い付くかもしれないね!)
 貰いに
   行って来るだあ!(行って来るです!=行って来ます!)

「よう!(ちょっと!)
  その ハサミは まだ 使うだあでえ(使うですぜ=使いますぜ)
    かたさねえで(片付けないで)
      そけえ(そこに) 置いといつくれ(置いといてくれ)

「いいだんべ(いいだろう=いいでしょう)
  こうして はっつけとくだけで(貼り付けておくだけで)
    虫よけに 効くんだあ(効くのだぜ)
      虫ったってよ(虫と言ったってさ)
        おめえの事じゃあ ねえ(お前の事ではないぜ)

「覗いちゃあ みたけんど(覗いては みたけれど)
  冷蔵庫の中になんかあ(冷蔵庫の中になんか)
    はいっちゃ(入っては) いなかったでえ
      いってえ
(一体) どけえ(どこへ)
        しまっちまったのよう(仕舞ってしまったのよ)
 あの印鑑が ねえと(無いと)
   金が(カネが)
     下ろせねえじゃんかなあ!(下ろせないではないかな!)

「俺なんかはよ(俺なんかはさ)
  お父さんと一緒に もう 100回は
    コーヒーカップに 乗ったあでえ
(乗ったぜ)

「こりゃあ(これは) 見た感じより 重い
  腰でも 悪くしちゃっちゃあ
(悪くしてしまっては)
    こまっからよ(困るからさ)
      きいつけて(気を付けて) 持て」

「おめえ(あなた) 随分と ほおが(頬が) 赤いでえ
  口紅でも 塗ったあみてえじゃんか
(塗ったみたいではないか)

「こっちゃあ(こっちは)
  年寄りべえで(年寄りばかりで)
    静かだあ(静かだぜ)
      みんな いきい するので(息をする事で)
        せえいっぺえだ(精一杯だ)

「そんな ひでえ事件が(酷い事件が) あったなんて
  あたしは 聞いたこたあ
(聞いた事は) ねえだあでえ(ないですぜ)
    いってえ(一体) 何時の事よ(何時の事さ)

「触るな って 言われたあから(言われたから)
  あたしは 指一本 触れちゃいねえ(触れてはいないぜ)

「むこうっかたのはよ(向こうの方のはさ)
  まだ とるにゃあ(採るには)
    早過ぎやしねえか?(早過ぎはしないか?)
 こっちっかたの(こっちの方の)
   熟れてんのと比べっと(熟れているのと比べると)
     まあだ(まだ) ちょいっと(ちょっと)
       青いだあでえ(青いですぜ)

「ほんとに 23か?(23センチか?)
  あんだか(何だか) 随分と 窮屈だあでえ(窮屈だぜ…)
    …ああ、
      靴下を 重ねて 履いてっからか
(履いているからか)
        1枚っつ(一枚ずつ) ぬぎゃあ(脱げば)
          丁度よかんべな(丁度良いだろうな)

「たぶんだあでえ(多分だぜ)
  確か こっから(ここから)
    ごじっぽ(50歩) あるってった所に(歩いて行った所に)
      カプセルを 埋めたあはずなんだ(埋めたはずなのだ)

「3時間 並んでよう(並んでさ)
  やっと 買えたあのは(買えたのは)
    これきりだあ(これきりですぜ)

「会社の為に
  あんなに 働いてくれたあ人は
(働いてくれた人は)
    他に いねえやな(いないよね)
「ほうよう!
(そうよ!)
  それなのに だあでえ(それなのに だぜ)
    退職金も はらあねえで(払わないで)
      首にしちまうなんてな!(首にしてしまうなんてね!)
 どうすやあ(どうすれば)
   そんな 鬼みてえな事が(鬼みたいな事が)
     できっかなあ!(出来るのかね!)

「こうして むきゃあ(剥けば) 無駄なく 食べられるでえ

「プリンを だあでえ(プリンを だぜ)
  バケツで 作ったんだと(作ったんだって)





「〜とって」=「〜とて」=「〜といって」

  ★

  ★


  ★

「踊れるといって喜んでた」「踊るなといってコーチが怒っていた」などの、
「〜といって」の意味。
「〜とて」には他に、
「〜でも」「〜だって」「〜といっても」「〜としても」のような意味がありますが、
八王子弁の「〜とって」は「〜といって」の意味だけを表現します。
使い方は標準語と同じです。

  使用例:


  使用例:

  使用例:


  使用例:


  使用例:






  使用例:


  使用例:







  使用例:

「バス停 ひとつ 走ろうとって(次のバス停まで走ろうといって)
  サンダル履きで 無茶した らしいで(らしいぜ)

「ここに 住むとって 早速 寝床 こしらえてらあ(こしらえているわ)

「嫁に 貰ったあとって(貰ったといって)
  自慢してべえ?(自慢しているだろう?)

「便利だあとって(便利だといって)
  猫も杓子も 使ってんな(使っているね)

「めしっつぶが(飯粒が) すくねえとって(少ないといって)
  文句べえ(文句ばかり) 言っててよう…(言っててさあ…)
    一緒に 食ってて いやんなっちまった(嫌になってしまった)
      食ってる あいだんじゅう
        
(食ってる間中=食べている間の全ての時間)
          ずうっとだあでえ!(ずっとだぜ!)

「ききっかたが(訊き方が) 癪に障ったあから(癪に障ったから)
  知らねえとって(知らないといって) しらばっくれてやった!」

「庭に 生ったやつをな(庭の木に生った実をね)
  ミカンらしいとって(蜜柑だと思う、といって)
    熟れたのを もいじゃあ(もいでは)
      人に(皆に) くれてるんだとよ
        
(呉れているのだとさ=上げているのだとさ)
 ありゃあ(あれは)
   ほんとに(本当に) ミカンかよ(蜜柑か?)

「おめえにとって
  (お前にといって=お前に、と言われて)
    預かって来たあ ほれ(ほら)





「〜とよ」
=「〜とさ」

  ★

「素人が踊るんだとさ」「恥ずかしげも無く踊ったとさ」などの、「〜とさ」の意味。
用法は標準語と全く同じです。

  使用例:

  使用例:

  使用例:

  使用例:

  使用例:

「あの人も 知らねえんだとよ(知らないのだとさ)

「どうしても 明日までに 金が いるんだとよ(要るのだとさ)

「来週 遊びい(遊びに) 来るとよ

「公務員だったから うんと(沢山) 年金が 出るとよ

「トンカン うるせえだんべ(うるさいだろう)
  ひがしっかた だけでも(東の方 だけでも)
    早く 終わらせちまわねえとよ(終わらせてしまわないとさ)
      お隣さんに 迷惑だあ(迷惑だ)





「〜な」=「〜な」
「〜なあ」=「〜な」

  ★
  ★

「踊ったなあ」「もう踊る」などの、「〜な」の意味。用法は標準語と全く同じです。
イントネーションが標準語の「〜な」と違い、
常に「な」「なあ」に高いアクセントを付けて発音します
(標準語の音程よりも高いです)。

  使用例:


  使用例:

  使用例:

  使用例:

  使用例:

  使用例:

  使用例:

  使用例:



  使用例:

  使用例:

  使用例:

なあ(ね?)
  うまいだんべえ?(美味いだろう?) ※同意を求める「なあ」

「暇が ありゃあ(あれば) あたしも 行きてえなあ(=行きたいな)

「一緒に 行きてえよなあ(=行きたいよね)

「弱ったなあ(=弱ったね)

「ほうだあ(=そうだな)

「ほうだなあ?」(=そうだよね?)

「危ねえから(危ないから) 近寄るなあ(=近寄るのではないよ)

「お父さんの
  わるっくちなんか
(悪口なんか)
    言うなあ(=言ってはいけないよ)

「良く遊び歩くなあ

「あそこの店で 安かったんべえ(安かったのだろうな)

「あたしは まだ
  ボケちゃあ
(ボケては)
    いねえだあなあ(=いないですよね?)





「〜にゃ」=「〜には」
「〜にゃあ」=「〜には」

  ★

「僕には踊りがある」「オーディションには受かった」などの、「〜には」の意味。
使い方は標準語と同じです。

  使用例:




  使用例:

  使用例:

  使用例:



  使用例:






  使用例:
  
使用例:

「ここいらにゃあ
  スーパーが
    ひとっつも
(一つも) ねえで(無いで=無くて)
      まあったく(全く) 不便だあなあ!(不便だな!)

「夕飯は まだ だけんど(だけれど) 風呂にゃあ へえった(入った)

「奴にゃあ もう うんざりだあよ(うんざりだよ)

「猫に やるにゃあ
  もったいねえから
(勿体無いから)
    結局 自分で 食ったあ(食った)

「電気屋にゃあ
  随分と めえに
(前に)
    修理を 頼んだんだあでえ(頼んだのだぜ)
      忙しいのか ちっとも 来てくれねえでよ(来てくれないでさ)
 まさか 忘れてるんじゃ(忘れているのでは)
   あんめえな(あるまいな)

「寝るにゃあ 早すぎらあ(早すぎるわ)

「起きるにゃあ 早すぎらあな(早すぎるわな)





「〜ばかし」=「〜ばかり」 ※おおよその数量・程度

  ★

  ★

「ダンスシューズを三足ばかり欲しい」などの、
おおよその数量・程度を表現する「〜ばかり」の意味。
おおよその数量・程度を意味する標準語「ばかり」と同じように、
「〜ばかし」の前に来るのは数量を示す単語になります。

使用例:

「まあだ(まだ) 人手が
  たりねえんだあよ
(足りないのだよ)
    追加で あと 五人ばかし
      集めてくれっと
(集めてくれると) 助からあ(助かるわ)





「〜べえ〜」
  =「〜ばかり〜」 ※範囲の限定
「〜べえで〜」
  =「〜べえ+で〜」=「〜ばかり+で〜」=「〜ばかりで〜」 ※範囲の限定

  ★

  ★










  ★









  ★


  ★







  ★

「踊ってばかりいる」「踊ってばかりで歌わない」などの、
範囲の限定を表現する「〜ばかり〜」「〜ばかりで〜」の意味。
用法は標準語の「ばかり」「ばかりで」と同様ですが、
「〜べえ〜」「〜べえで〜」の前に動詞を置く場合は
『連用形』のみが対象となります。
(動詞の『ウの段で言い切る連体形』に「べえ」を繋げると、
助動詞「〜だろう」を意味する八王子弁の
「〜べ」「〜べえ」の表現になってしまいます)。
また、「〜べえ〜」「〜べえで〜」の前に形容詞を置く場合も
『連用形』が対象となります
(形容詞の『「〜い」で言い切る連体形』に「べえ」を繋げると、
助動詞「〜だろう」を意味する八王子弁の
「〜べ」「〜べえ」の表現になってしまいます)。
「〜べえ〜」の後ろには、必ず動詞を含んだ連語が続きます。
標準語では「踊ってばかり。踊ってばかりよ。」などの様に
文を終わらせる事が出来ますが、
八王子弁では助詞「ばかり」を意味しての
〜べえ。」「〜べえよ。」という言い方自体が存在しません。
(「〜べえ。」「〜べえよ。」で文を終わらせてしまうと、
助動詞「〜だろう」を意味する八王子弁の
「〜べ」「〜べえ」の表現になってしまいます。)
ですので、標準語の「踊ってばかりいる。踊ってばかりいるよ。」の様に
八王子弁では「踊ってべえいる。踊ってべえいるよ。」と表現する事になります。
「〜べえで〜」の後ろには、標準語「ばかり」と同様に文を続けて置くか、
助詞「な」「なあ」「よ」「よう」を付けて文を終わらせる事が出来ます。
「〜べえでとして終わらせる事はできません。)
標準語であれば「〜ばかり〜」に連なる事の出来る品詞や活用形であるのに、
八王子弁「〜べえ〜」には連なって表現する事がない(出来ない)物が多々有ります。
そのような物は標準語の「ばかり」を使って八王子弁を構成させます。
(例えば、
「踊べえで観ねえ」「踊ってべえで苦しべえだ」「踊らねえべえ興味がねえ」
という八王子弁は存在しないので、
「踊るばっかりで観ねえ」「踊ってべえで苦しいばっかりだ」
「踊らねえばかりか興味がねえ」と表現します。)
「〜べえ〜」「〜べえで〜」のイントネーションは、
「べえ」に高いアクセント取って発音します。

  使用例:

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  使用例:



  使用例:





  使用例:


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  使用例:

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  使用例:


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  使用例:




  使用例:



  使用例:

「毎日 イモべえ 食ってるだ(食ってるです=食ってます)

「“もしもし”べえ 言ってら(言ってるわ)
  こっちの 声が 聞こえねえ(聞こえない) みてえだ(みたいだ)

「さっきっから(さっきから)
  咳べえ してえるじゃんか(しているではないか)
    おめえ(お前) でえじょうぶかよ(大丈夫かよ)

「たまには
  こっちっかたも
(こちらの方も)
    磨いてくれよう(磨いてくれよ)
      そっちべえ きれえんなって(綺麗になって)
        バランスが わりいやな(悪いわな)

「日焼けしてもよ(日焼けをしてもさ)
  赤くべえなって 黒くならねえのよ(黒くならないのよ)

「早さべえ 競ってるらしいで(競っているらしいぜ)
  はやけや いいって もんじゃ
    
(早ければ 良いって 物では)
      ねえよな!(ないよね!)

「あの犬は ヨダレを 垂らしてべえ いるなあ」

「本を 読んでべえいて
  目が 疲れねえのかよ
(疲れないのかよ)
    いちんちじゅう じゃんか(一日中 ではないか)

「会館には カラオケが ねえからな(無いからね)
  アカペラでべえ 歌ってるだ(歌ってるです=歌っています)

「高校に へえってからは(入ってからは)
  山田さんとべえ あすんでるよう(遊んでいるよ)

「おじいさんが
  夢にべえ 出て来るんだあよ
(出て来るのだよ)
    こわかねえけんど(怖くないけれど)
      不思議だと 思ってよ(思ってさ)

「ここんとこ(ここのところ=ここ最近)
  おかぞが(おかずが) 野菜べえで(野菜ばかりでさ)
    その内 ウサギにでも なっちまいそうだ(なってしまいそうだ)

「いつも 貰ってべえで すいませんね(済みませんね)

【余談】
八王子弁の中には、【助詞「〜べえ〜」】とは別に
「しよう」「だろう」の意味を持つ【助動詞「べえ」】があります。
助詞と助動詞の「べえ」両方を
一つの文章に入れて使うと次のようになります。

「犬が吠えてべえいるべえ?」(犬が吠えてばかりいるだろう?)
「ちいっとべえ貰うべえ」(少しくらいおう)。






「副詞+べえ〜」
=「〜ばかり〜」 ※おおよその数量・程度

  ★


  ★

「少しばかり踊る」などの、「〜ばかり〜」の意味。
おおよその数量・程度を意味する標準語「ばかり」と同じように、
「〜べえ〜」の前に来るのは数量を示す副詞になります。
アクセントは「べえ」に高く取って発音します。

  使用例:

  使用例:

「ちいっとべえで いいよ」=「少しばかりで いいよ」

「ちっとべえ 貰ってけえるかな(貰って帰るかな=貰って帰ろうかな)

【余談】
「副詞+べえ〜」の表現で祖母が良く使うフレーズは、
「少しばかり」を意味する「ちいっとべえ」「ちっとべえ」だけしか有りません。
その他の副詞を当てたフレーズが八王子弁に存在するのかどうかは不明です。






「助動詞の仮定形+や」=「〜れば」
「助動詞の仮定形+やあ」=「〜れば」
「助動詞の仮定形+りゃ」=「〜れば」
「助動詞の仮定形+りゃあ」=「〜れば」

  ★

  ★

  ★

「彼を踊らせれば素晴らしい」「君が口を出さなければなお良い」などの、
「〜れば」の意味。
「〜や」「〜やあ」「〜りゃ」「〜りゃあ」の意味は同じですが、
「〜りゃ」「〜りゃあ」の方が少々攻撃的な表現となります。
八王子弁で「〜や」「〜やあ」「〜ゃ」「〜ゃあ」と表現する物は、
仮定形に繋がる助詞(「〜れば」の意味)の他に、
連用形に繋がる助詞(「〜しは」の意味)が有ります。
双方全く同じ発音と形態を取るのですが、
どちらの意味で使っているかは文脈で判断できます。【注1】

  使用例:

「負けたあ奴を(負けた奴を)
  走らせ/走らせやあ
  /走らせりゃ/走らせりゃあ
(走らせれば)
      よかねえか?(良くはないか?)
※ 使役「させれ」+「ば」

  使用例:

「そういう でえじな事はよ(大事な事はさ)
  町内に
    知らしめ/知らしめやあ
    /知らしめりゃ/知らしめりゃあ
(知らしめれば)
        いいじゃんかなあ(いいではないかねぇ)
※ 使役「しめれ」+「ば」

  使用例:

「あの 鈍感が(鈍感な人が)
  察せ察せやあ
  /察せりゃ/察せりゃあ
察せれば)
      てえしたもんだけんどな(大したものだけれどね)
※ 使役「せれ」+「ば」

  使用例:

「食いたけ/食いたけやあ
 /食いたけりゃ/食いたけりゃあ
 (
縮めて→ 食いたきゃ/食いたきゃあ)(食いたければ)
      おめえも(お前も) 少しは 手伝え」
※ 希望「たけれ」+「ば」

  使用例:

「何時だって 子供が
  欲しがりゃ/欲しがりゃあ
(欲しがれば)
    くれてやってるよ(呉れてやってるよ=上げてやっているよ)
※ 希望「たがれ」+「ば」

  使用例:

「サイズが
  合わなけ/合わなけやあ

  /合わなけりゃ/合わなけりゃあ(合わなければ)
      うっちゃっちまったって(捨ててしまったって)
        いいんだ(いいのだ)
※ 打消「なけれ」+「ば」

  使用例:

「あの辺りへ
  下りられ下りられやあ
  /下りられりゃ/下りられりゃあ
(下りられれば)
      フキノトウが いっぺえ(いっぱい)
        摘めんだけんど(摘めるのだけれど)
※ 受身、可能、尊敬、自発「られれ」+「ば」

  使用例:

「面と向かって(面と向かって)
  聞かれ聞かれやあ
  /聞かれりゃ/聞かれりゃあ
(聞かれれば)
      答えるしか あんめえな(あるまいな)
※ 受身、可能、尊敬、自発「れれ」+「ば」





「動詞の仮定形+ゃ」=「すれ+ば」=「すれば」
「動詞の仮定形+ゃあ」=「すれ+ば」=「すれば」
「動詞の仮定形(上一段、下一段活用のみ)+や」=「すれ+ば」=「すれば」
「動詞の仮定形(上一段、下一段活用のみ)+やあ」=「すれ+ば」=「すれば」

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踊れば元気になる」「踊る事をよせば治る」などの、「〜すれば」の意味。
動詞の仮定形であれば全て「〜ゃ」「〜ゃあ」と続けて言う事ができます。
加えて、動詞の上一段・下一段活用の場合は「〜や」「〜やあ」と言う事もできます。
「〜ゃ」「〜ゃあ」「〜や」「〜やあ」の意味は同じですが、
「〜や」「〜やあ」の方が大人し目な表現になります。
「〜ゃ」「〜ゃあ」を使う時には、仮定形の最後の一文字を変換させて
「〜ゃあ」「〜ゃあ」「〜ゃあ」などと表現します。【注2】
上一段・下一段活用で「〜や」「〜やあ」を使う時には、
仮定形の最後の一文字「〜れ」を抹殺して「〜や」「〜やあ」と続けます。
八王子弁で「〜や」「〜やあ」「〜ゃ」「〜ゃあ」と表現する物は、
仮定形に繋がる助詞(「〜れば」の意味)の他に、
連用形に繋がる助詞(「〜しは」の意味)が有ります。
双方全く同じ発音と形態を取るのですが、
どちらの意味で使っているかは文脈で判断できます。【注1】

  使用例:



  使用例:


  使用例:



  使用例:





  使用例:



  使用例:





  使用例:



  使用例:



  使用例:



  使用例:





  使用例:


「通りすがった人が
  助けてくれてよう
(助けてくれてさ)
    なめえを(名前を)ゃあ(聞けば) 良かった」 

「その 上っ張りを(上着を)
  脱ゃあ(脱げば) 涼しく ならあな(なるわよ)

「梅干しっちゅうのはよう(梅干しと言うのはさ)
  漬けたあ後に(漬けた後に) ゃあ(干せば)
    皮が やっこく(柔かく) なるんだあで(なるのだぜ)

「勝ゃあ(勝てば)
  いいってもんでも(良いと言う物でも)
    ねえけんど(ないけれど)
      あの賞品は ちょいっと(ちょっと)
        魅力的だあな(魅力的だな)

「コロッと 死ゃあ(死ねば)
  楽で いいけんど(いいけれど)
    そう上手くは 行かねえもんだ(行かない物だ)

「あたしが 呼ゃあ(呼べば)
  寄って 来るで(来るぜ)
    ようっ(おいっ)
      ミーちゃん
        こっちい
(こっちへ) 来な」

「この本を 読ゃあ(読めば)
  金持ちに なれるんだとよ(なれるのだとさ)
    うそくせえだんべ(嘘くさいだろう)

「じいさんの 耳に 入ゃあ(入れば)
  おめえの(お前の) 首なんざ(首などは)
    その日のうちに ふっとんじまうでえ(吹き飛んでしまうぜ)

「惜しいじゃんかなあ(惜しいではないかねえ)
  あと じっぷん(十分) 早く くゃあ(来れば)
    プレゼントを 貰えたらしいんだあよう(貰えたらしいのだよ)

「スカーフを こうすゃあ(こうすれば) 良かんべ(良いだろう)
  ほれ(ほら) みつくれ(見てくれ)
    こいで(これで) どうよ(どう?)
      ええ?
        まあだ
(まだ) 下着が めえてるか?(見えてるか?)

「さぶいんなら(寒いのなら)
  その 腰い(腰に) 巻いてるやつを
    着ゃあ/着やあ
(着れば)
      いいじゃんかなあ!(いいではないかな!)
※上一段活用

  使用例:

「九十も 過ぎゃあな/過ぎやあ(過ぎればね)
  兄弟も 友達も
    みんな 死んじまって
(死んでしまって)
      つまらねえよ(詰まらないよ)
  ※上一段活用

  使用例:

「通るたんびい(通る度に)
  足い(足を) ぶっけて(ぶつけて)
    邪魔で 仕方なかったんだあよ(仕方なかったのだよ)
      早く どけゃあ/どけやあ(退ければ) 良かったんだな」
※下一段活用

  使用例:

「へえ、 ほうか(そうか)
  二種類の 味噌を
    混ぜゃあ/混ぜやあ
(混ぜれば)
      こうに(このように) 旨くなんのか(美味しくなるのか)
※下一段活用

  使用例:

「あんとき(あの時)
  助けゃあ/助けやあ(助ければ)
    ここまで おおごとにゃあ(大事には)
      ならなかったと 思うで(思うぜ)
        今更 言ったって おせえけんど(遅いけれど)
※下一段活用





「形容詞の仮定形+ゃ」=「〜けれ+ば」=「〜ければ」
「形容詞の仮定形+ゃあ」=「〜けれ+ば」=「〜ければ」
「形容詞の仮定形+や」=「〜けれ+ば」=「〜ければ」
「形容詞の仮定形+やあ」=「〜けれ+ば」=「〜ければ」

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苦しければ踊るのを止めろ」などの、「〜ければ」の意味。
形容詞の仮定形であれば全て
「〜ゃ」「〜ゃあ」「〜や」「〜やあ」と続けて言う事ができます。
「〜ゃ」「〜ゃあ」「〜や」「〜やあ」の意味は同じですが、
「〜や」「〜やあ」の方が大人し目な表現です。
「〜ゃ」「〜ゃあ」を使う時には、仮定形の最後の一文字を変換させて
「〜ゃあ」「〜ゃあ」「〜ゃあ」などと表現します。【注2】
「〜や」「〜やあ」を使う時には、
仮定形の最後の一文字「〜れ」を抹殺して「〜や」「〜やあ」と続けます。
八王子弁で「〜や」「〜やあ」「〜ゃ」「〜ゃあ」と表現する物は、
仮定形に繋がる助詞(「〜れば」の意味)の他に、
連用形に繋がる助詞(「〜しは」の意味)が有ります。
双方全く同じ発音と形態を取るのですが、
どちらの意味で使っているかは文脈で判断できます。【注1】

  使用例:





  使用例:

「そんだけ(それだけ)
  硬け/硬け(硬ければ)
    おっぽって(放って) 投げちまっても(投げてしまっても)
      ぼっかあれや
(壊れは)
        しねえんじゃねえか?(しないのではないか?)

「籠に へえってんのと(入っている物と)
  おんなしくれえ(同じくらい)
    赤けゃあ/赤けやあ(赤ければ)
      収穫時だあ(収穫時だ)
        みんな もいじまってくれ(もいでしまってくれ)

【注2】
『動詞の仮定形』と『形容詞の仮定形』に「〜ゃ」「〜ゃあ」を続ける場合、
仮定形の最後の一文字を変換させて
「〜ゃ」「〜ゃあ」と続けます。

最後の一文字が
【か行】の場合は→ゃ」「ゃあ」
【が行】の場合は→ゃ」「ゃあ」
【さ行】の場合は→ゃ」「ゃあ」
【た行】の場合は→ゃ」「ゃあ」
【な行】の場合は→ゃ」「ゃあ」
【ば行】の場合は→ゃ」「ゃあ」
【ま行】の場合は→ゃ」「ゃあ」
【ら行】の場合は→ゃ」「ゃあ」
と変換して表現します。






「助動詞の連用形+ゃ」=「〜は」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。
「助動詞の連用形+ゃあ」=「〜は」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。
「助動詞の連用形+や」=「〜は」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。
「助動詞の連用形+やあ」=「〜は」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。

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「大舞台で踊りたがりはしないよ」「舞台に立たせはしない」「〜は」の意味。
使い方は標準語と同じです。
助動詞によって「〜ゃ」「〜ゃあ」「〜や」「〜やあ」のどちらかを使います。
ただし、「たがり」のみは両方使えます(以下参照)。
「〜ゃ」「〜ゃあ」「〜や」「〜やあ」の意味は同じもので、
表現に善し悪しはありません。
八王子弁で「〜ゃ」「〜ゃあ」「〜や」「〜やあ」と表現する物は、
連用形に繋がる助詞(「〜は」の意味)の他に、
仮定形に繋がる助詞(「〜れば」の意味)が有ります。
双方全く同じ発音と形態を取るのですが、
どちらの意味で使っているかは文脈で判断できます。【注1】

  使用例:

「分かってらあな(分かっているわな)
  あの人には 見させやあ(見させは) しねえよ(しないよ)
※使役「させ」+「は」

  使用例:

「まさか みんなんじゅうに(皆に)
  知らしめやあ(知らしめは) しめえ?(しないだろ?)
※使役「しめ」+「は」

  使用例:

「やつぁあ(奴は)
  ひでえ(酷い) 鈍感だあもの(鈍感だもの)
    察せ(察せは) しねえだんべ(しないだろう)
  ※使役「せ」+「は」

  使用例:

「誰も
  食べたがり/食べたがり

    (食べたがりは)
       しねえな(しないな)
  ※希望「たがり」+「は」

  使用例:

「あれのようにゃあ(あの人の様には)
  なりたくねえ(成りたくない)
※推量・比況「ように」+「は」

  使用例:

「こんなあ(こんな)
  急な さかあ(坂は)
    怖くって(怖くて)
      下りられ/下りられやあ

        (下りられは)
          しねえだあ!(しないです!)
※受身・可能・自発・尊敬「られ」+「は」

  使用例:

「こうしときゃ(こうしておけば)
  誰にも 聞かれやあ(聞かれは) しねえだんべ(しないだろう)
※受身・可能・自発・尊敬「られ」+「は」





「動詞の連用形+や」
  =「し+は」=「しは」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。
「動詞の連用形+やあ」
  =「し+は」=「しは」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。
「動詞の連用形・五段活用(一部を除く)+ゃ」
  =「し+は」=「しは」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。
「動詞の連用形・五段活用(一部を除く)+ゃあ」
  =「し+は」=「しは」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。

  ★
  ★
  ★


  ★

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「踊りを休みはしない」「気に掛けはしない」などの、「しは」の意味。
動詞の連用形であれば全て「〜や」「〜やあ」と続けて言う事ができます。
五段活用動詞の場合は「〜ゃ」「〜ゃあ」と言う事もできます。
ただし、最後の文字が「あ行」で終わる場合は
「〜ゃ」「〜ゃあ」では繋げられません。
「〜や」「〜やあ」「〜ゃ」「〜ゃあ」の意味は同じですが、
「〜りゃ」「〜りゃあ」の方が少々攻撃的な表現となります。
八王子弁で「〜や」「〜やあ」「〜ゃ」「〜ゃあ」と表現する物は、
連用形に繋がる助詞(「〜しは」の意味)の他に、
仮定形に繋がる助詞(「〜れば」の意味)が有ります。
双方全く同じ発音と形態を取るのですが、
どちらの意味で使っているかは文脈で判断できます。【注1】

  使用例:



  使用例:


  使用例:




  使用例:





  使用例:




  使用例:



  使用例:

「いっくら(いくら) 待っても
  バスが 来しねえで
(来はしないで=来ないで)
    途方に 暮れちまったあ(暮れてしまった)

「電話なんか しやあしねえよ(しはしないよ)
  おめえに(お前に) 用なんか ねえもの(無いもの)

「まさか バイクの後ろに
  子供を 乗せしめえ?
(乗せはしまい?)
    あぶねえから(危ないから)
      ぜってえ(絶対) よせえ!(止せ!)

「どけえ(何処へ)
  やっちまったんだかなあ(やってしまったのだかねえ)
    手裏剣なんて あんな あぶねえもの(危ない物)
      簡単に 捨てやあしねえ(捨てはしない)
         はずなんだけんど(はずなのだけれど)

「着物なんか
  もう 着やあしねえけんど
(着はしないけれど)
    うっちゃっちまうのも(捨ててしまうのも)
      惜しいやな(惜しいよな)

「落ちしねえかと(落ちはしないかと)
  ヒヤヒヤして 見てたあ(見てた)
    心臓に わりいや(悪いわ)

「誰か
  仏様に上げたあ
(仏壇に お供えした) 饅頭を
    食いしねえか?
(食べはしないか?)
 カビてえる みてえだったからよ(カビている みたいだったからさ)
   うっちゃっちまおうと(捨ててしまおうと)
     思ってたあのに(思っていたのに) ねえ(無い)
※「あ行」で終わる五段活用

  使用例:

「あんくれえの事じゃあ(あのくらいの事では)
  死に/死にゃあ(死には)
    しねえんだと(死にはしないのだって)
※五段活用

  使用例:

「転び/転びゃあ(転びは) しねえよ(しないよ)
  すんでのところで(既のところで)
    てすりい(手摺を) 掴んで 助かった」
  ※五段活用

【注1】
八王子弁で「〜や」「〜やあ」「〜ゃ」「〜ゃあ」と表現する
『〜しは(連用形)』と 『〜れば(仮定形)』を
両方使って文を作ると次のようになります。

「丸太んぼの まんまじゃあ 燃えやあ しねえよ。そいが 燃えやあ てえしたもんだあ。」
(丸太の ままでは 燃え しないよ。それが 燃えれば 大したものだ。)






「〜よう」=「〜よ」

  ★

  ★

  ★

「なんと愉快な踊り」「恥ずかしいから見ないで下さい」などの、
「〜よ」の意味(感嘆、呼びかけ)。
標準語「〜よ」の全てが八王子弁「〜よう」で表現される訳ではなく、
標準語の「〜よ」も「〜よう」と共に会話中で使われます。
イントネーションが標準語の「〜よ」の用法と違い、
標準語「よ」よりも高い音程で「よう」を発音します
(常に相手に訴えかける感じのイントネーション)。
また、標準語で表現される、「よ」を低く発音するイントネーション
「〜よう」では使われません。

  使用例:




  使用例:




  使用例:




  使用例:


  使用例:

  使用例:







  使用例:

  使用例:



  使用例:









  使用例:


  使用例:



  使用例:



  使用例:





  使用例:

「全くよう
  どこもかしこも 潰れちまってなあ
(潰れてしまってな)
    あんなんじゃあ(あんなのでは) もう
      商店街たあ
(商店街とは) 呼べねえな(呼べないな)

「ほうだよう(そうだよ)
  大空襲ん時にはよ(大空襲の時にはさ)
    おじさんは 位牌を かけえて(抱えて)
      逃げたんだあで(逃げたのだぜ)

「あんだよ(何だよ)
  先い(先に) 言ってくれよう
    薄めねえで
(薄めないで)
      半分 飲んじまったよう(飲んでしまったよ)

「ああ 困ったよう
  こけえらに
(ここいらに) 便所は ねえかな(無いかな)

「そんなあ(そんな) 値段で 売ってたの!? 安いよう!」

「一緒に行こう ったって(一緒に行こう と言ったって)
  こかあ(ここは)
    日本じゃねえんだから(日本ではないのだからよ)
 荷を置いたまんま
   席を 離れちゃっちゃあ
(離れてしまっては)
     盗られちまうだあよう
       (盗られてしまうですよ=盗られてしまいますよ)

「まあだ(まだ) ボケちゃいねえよう(ボケてはいないよ)

「もう 残りが 少ねえだあよう(少ないですよ)
  おちつかねえから(落ち着かないから)
    早めに 補充しとくべ(補充しておこう)

「籠から出して あすんでも(遊んでも)
  かまあねえけんどよ(構わないけれどよ)
    ピーちゃんを
      外へは
        おっぱなすなよう
(放すなよ)
 あっ!
   言った さきっから
     
(言った さきから=言った そばから)
        おっぱなすなよう!!(放すなよ!!)

「カメさんよう
  どけえ
(どこへ) 行くのよ」

「肥だめに
  おっこっちまっただあよう

    (落ちてしまったですよ=落ちてしまいましたよ)

「感謝しろよう
  おじいさんの おかげで
    今が あるんだあからよ
(あるのだからよ)

「止せよう
  4人も おっかぶさったら
(被さったら)
    兄ちゃん(俺) ぴっちゃんこ に(ぺっちゃんこ に)
      なっちまうじゃんかなあ!(なってしまうではないかな!)
        ひぃ〜! もう 勘弁してくれよう〜!」

「おめえよう(お前よ)
  しそっぱが(紫蘇の葉が) ほしけやあ(欲しければ)
    もいで 持ってけよ(もいで持って行きなよ)





 






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