●「形容詞の連用形+か」=「〜くは」
※後ろに必ず「〜ない」「〜あるまい」の否定文が続きます。
★「美しくはない」などの、「〜くは」の意味。使い方は標準語と同じです。
使用例:「割り勘をよ(割り勘をさ)
一円まで 等分に 分けたんだあでえ(分けたのだぜ)
こまっかかねえか?(細かくはないか?)」
/「別に 羨ましかねえけんど(羨ましくはないけれど)
どんなもんか(どんな物か) 一度は みしてもらいてえな(見せてもらいたいね)」
/「こんな 年にも(年齢にも) なりゃあな(なればね)
誕生日が 来たって 別段 めでたかねえよ(目出度くはないよ)」
/「この 服で 出掛けたって おかしかあんめえ?(可笑しくはあるまい?)」
●「助動詞・希望【たい】の連用形+か」=「〜たくは」
※後ろに必ず「〜ない」「〜あるまい」の否定文が続きます。
★「踊りをやめたくはない」などの、「〜くは」の意味。使い方は標準語と同じです。
使用例:「本当は 会いたかねえんだ(会いたくはないのだ)
おめえだって(お前だって) 正直 会いたかあんめえ?(会いたくはあるまい?)」
●「助動詞・推量【らしい】の連用形+か」=「〜らしくは」
※後ろに必ず「〜ない」の否定文が続きます。
★「リーダーらしくはない踊りだった」などの、「〜くは」の意味。使い方は標準語と同じです。
使用例:「流石に あの子らしかねえな(あの子らしくはないね)
あにも(何も) 喉を 通らねえって(通らないって)
好物の ポテトチップスも 食わねえなんてよ(食べないなんてさ)」
●「〜くれえ」=「〜くらい」
●「〜ぐれえ」=「〜ぐらい」
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★「逆立ちで踊るくらい訳は無い」「そんな自慢をするのは君ぐらいだ」などの、「〜くらい」の意味。
使い方は標準語と同じです。 |
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使用例:「おめえよう!(お前よ!)
2〜3百万ぐれえで メソメソ すんなあ!(するな!)」
↑オレオレ詐欺の電話に対応した祖母の実際のセリフ。
/「あんときぐれえ(あの時ぐらい) 困った事は 無かったな」
/「残したって かまやしねえんだ(構いはしないのだ)
無理に 食うこたねえよ(食う事は無いよ)
そんくれえで(そのくらいで) やめとけ」
●「〜っけか?」=「過去を思い出す終助詞【け】+疑問の終助詞【か】?」=「〜っけ?」
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★「あの舞台で踊ったっけ?」「あれって舞台だったっけ?」などの、「〜っけ?」の意味。
使い方は標準語と同じです。
★一般的には、単純に「〜っけ」に疑問符「?」をつければ同様の意味が成立する言葉ですが、
八王子弁では「〜っけ?」の様に「け」で言い終わる使い方はあまりしません。
疑問を投げかける時は「〜けか?」と言い、
単に思い出話をする時は「〜っけ」の後ろに「なあ」を付けて「〜っけなあ」と言います。
ちなみに、自問する時は「〜っけかなあ?」と言います。 |
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使用例:「よう(ねえ)
こないだ(この間) 土産に くれたあ(呉れた) 麺はよ(麺はさ)
煮て食うもんだっけか?
ああ やっぱり ほうだったか(そうだったか)
もう おせえや(遅いわ) 生で 食っちまったあ(食べてしまった)」
/「ええ〜と、どけへ(どこへ) しまったっけかなあ?
でえじなもんじゃあ(大事なものでは) ねえから(無いから)
かくしゃあしねえ はずなんだけんど(隠しはしない はずなのだけれど)」
/「小学校って こんな 山奥だったっけか? 忘れちまったあ(忘れてしまった)」
/「確か てえへんな騒ぎだったよな(大変な騒ぎだったよね)
そういやあ(そう言えば) あの後 めっかったんだっけか?(見つかったんだっけ?)」
●「じゃ」=「では」
●「じゃあ」=「では」
★「スリッパでは踊れない」「では裸足で踊れ」などの、「では」の意味。使い方は標準語と同じです。
使用例:「よう!(おい!) 走るんじゃあねえよう!(走るのではないよ!)
ここの 廊下は すべっから(滑るから) 転ぶでえ!(転ぶぜ!)」
/「じゃあよう(ではさ)
キュウリと ニンジンを にほんつ(二本ずつ) くれっか?(くれるか?」
/「じゃあな(ではまたね)
気い付けて(気を付けて) けえれよ(帰れよ)
じでんしゃじゃ(自転車では) 家まで 1時間は 掛かるだんべ(掛かるだろう)」
/「今時分に 出掛けたんじゃあ
道が 混んでて 捕まっちまうんじゃ(捕まってしまうのでは)ねえか?(ないか?)」
/「じゃあ 言わせて もらうけんどよう(もらうけれどさ)
おめえだって(お前だって)
言う程の 男前って訳でも ねえじゃねえか(ないではないか)」
/「山田さんが 居た頃は
一緒に 茶を 飲んじゃあ
ばかっぱなししたり(馬鹿話をしたり=下らない話をしたり)
歌あ(歌を) 歌ったりして
まいんち(毎日) 楽しかったな」
●「〜ちゃ」=「〜ては」
●「〜ちゃあ」=「〜ては」
★「集まっては皆で踊った」「集会を認めてはいない」などの、「〜ては」の意味。使い方は標準語と同じです。
使用例:「走っちゃ 危ねえから(危ないから) ゆっくり あるってけ(歩いて行け)」
/「本人は 知っちゃ いねえだんべ(いないだろう)」
/「すぐには 貸しちゃあ くれねえんだとよ(くれないのだとさ)」
/「人と 比べちゃあ 不満べえ言って(不満ばかり言って) 損な 性格だな」
●「〜で」=「〜ぜ」
●「〜でえ」=「〜ぜ」
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★「踊るぜ」「恥だぜ」などの、「〜ぜ」の意味。用法は「〜ぜ」と全く同じです。
★イントネーションが標準語の「〜ぜ」の用法と違い、
常に「で」「でえ」に高いアクセントを付けて発音します(相手に訴えかける感じのイントネーション)。
標準語の「〜ぜ」のように、「ぜ」を低く発音するイントネーションでは使いません。 |
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使用例:「ほっつきあるってねえで(うろつき歩いていないで)
早く けえれよ!(帰れよ!)
もう 夜だあでえ!(夜だぜ!)」
/「今 行ったあのが(行ったのが=走り去ったのが)
奥さんとこに(奥さんの家に) 荷物 持ってったあ(荷物を持って行った)
車だあで(車だぜ)」
「あによ!(何よ!) ほいじゃあ(それでは)
今 おっかけやあ(追い駆ければ)
おっつくかもしれねえから(追い付くかもしれないから)
ハンコ持って 行って来るだあ!(行って来るです!=行って来ます!)」
/「よう!(ちょっと!)
その ハサミは まだ 使うだあでえ(使うですぜ=使いますぜ)
かたさねえで(片付けないで) そけえ(そこに) 置いといつくれ(置いといてくれ)」
/「いいだんべ(いいだろう=いいでしょう)
こうして はっつけとくだけで(貼り付けておくだけで)
虫よけに 効くんだあで(効くのだぜ)
虫ったってよ(虫と言ったってさ)
おめえの事じゃあ ねえで(お前の事ではないぜ)」
/「覗いちゃあ みたけんど(覗いては みたけれど)
冷蔵庫の中になんかあ(冷蔵庫の中になんか)
はいっちゃ(入っては) いなかったでえ!
いってえ(一体) どけえ(どこへ) しまっちまったのよう(仕舞ってしまったのよ)
あの印鑑が ねえと(無いと)
金が 下ろせねえじゃんかなあ!(下ろせないではないかな!)」
/「俺なんかはよ(俺なんかはさ)
お父さんと一緒に もう 10回は コーヒーカップに 乗ったあでえ(乗ったぜ)」
/「こりゃあ(これは) 見た感じより 重いで
腰でも 悪くしちゃっちゃあ(悪くしてしまっては) こまっからよ(困るからさ)
きいつけて(気を付けて) 持て」
/「おめえ(あなた) 随分と ほおが(頬が) 赤いでえ
口紅でも 塗ったあみてえじゃんか(塗ったみたいではないか)」
/「年寄りべえで(年寄りばかりで) こっちゃあ(こっちは) 静かだあで(静かだぜ)
みんな いきい するので(息をする事で) せえいっぺえだ(精一杯だ)」
/「そんな ひでえ事件が(酷い事件が) あったなんて
あたしは 聞いたこたあ(聞いた事は) ねえだあでえ(ないですぜ)
いってえ(一体) 何時の事よ(何時の事さ)」
/「触るな って 言われたあから(言われたから)
あたしは 指一本 触れちゃいねえで(触れてはいないぜ)」
/「むこうっかたのはよ(向こうの方のはさ)
まだ とるにゃあ(採るには) 早過ぎやしねえか?(早過ぎはしないか?)
こっちっかたの(こっちの方の) 熟れてんのと比べっと(熟れているのと比べると)
まあだ(まだ) ちょいっと(ちょっと) 青いだあでえ(青いですぜ)」
/「ほんとに 23か?(23センチか?)
あんだか(何だか) 随分と 窮屈だあでえ…(窮屈ですぜ…)
…ああ、 靴下を 重ねて 履いてっからか(履いているからか)
1枚っつ(一枚ずつ) ぬぎゃあ(脱げば) 丁度よかんべな(丁度良いだろうな)」
/「たぶんだあでえ(多分だぜ)
確か こっから(ここから) ごじっぽ(50歩) あるってった所に(歩いて行った所に)
カプセルを 埋めたあはずなんだ(埋めたはずなのだ)」
/「3時間 並んでよう(並んでさ)
やっと 買えたあのは(買えたのは)
これきりだあで(これきりですぜ)」
/「会社の為に
あんなに 働いてくれたあ人は(働いてくれた人は)
他に いねえやな(いないよね)」
「ほうよう!(そうよ!) それなのに だあでえ(それなのに だぜ)
退職金も はらあねえで(払わないで) 首にしちまうなんて(首にしてしまうなんて)
どうすやあ(どうすれば) そんな 鬼みてえな事が(鬼みたいな事が)
できっかなあ!(出来るのかね!)」
/「こうして むきゃあ(剥けば) 無駄なく 食べられるでえ」
/「プリンを だあでえ(プリンを だぜ)
バケツで 作ったんだと(作ったんだって)」
●「〜とって」=「〜とて」=「〜といって」
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★「踊れるといって喜んでた」「踊るなといってコーチが怒っていた」などの、「〜といって」の意味。
★「〜とて」には他に、「〜でも」「〜だって」「〜といっても」「〜としても」のような意味がありますが、
八王子弁の「〜とって」は「〜といって」の意味だけを表現します。
★使い方は標準語と同じです。 |
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使用例:/「バス停 ひとつ 走ろうとって(次のバス停まで走ろうといって)
サンダル履きで 無茶した らしいで(らしいぜ)」
/「ここに 住むとって 早速 寝床 こしらえてらあ(こしらえているわ)」
/「嫁に 貰ったあとって(貰ったといって) 自慢してべえ?(自慢しているだろう?)」
/「便利だあとって(便利だといって) 猫も杓子も 使ってんな(使っているね)」
/「めしっつぶが(飯粒が) すくねえとって(少ないといって)
文句べえ(文句ばかり) 言っててよう…(言っててさあ…)
一緒に 食ってて いやんなっちまった(嫌になってしまった)
食ってる あいだんじゅう(食べている間中=食べている間の全ての時間)
ずうっとだあでえ!(ずっとだぜ!)」
/「ききっかたが(訊き方が) 癪に障ったあからよ(癪に障ったからさ)
知らねえとって(知らないといって) しらばっくれてやった!」
/「庭に 生ったやつをな(庭の木に生った実をね)
ミカンらしいとって(蜜柑だと思う、といって)
熟れたのを もいじゃあ(もいでは)
人に(皆に) くれてるんだとよ(呉れているのだと=上げているのだってさ)
ありゃあ(あれは) ほんとに(本当に) ミカンかよ(蜜柑か?)」
/「おめえにとって(お前にといって=お前に、と言われて) 預かって来たあ
ほれ(ほら)」
●「〜とよ」=「〜とさ」
★「素人が踊るんだとさ」「恥ずかしげも無く踊ったとさ」などの、「〜とさ」の意味。用法は標準語と全く同じです。
使用例:「あの人も 知らねえんだとよ(知らないのだとさ)」
/「どうしても 明日までに 金が いるんだとよ(要るのだとさ)」
/「来週 遊びい(遊びに) 来るとよ」
/「公務員だったから うんと(沢山) 年金が 出るとよ」
/「トンカン うるせえだんべ(うるさいだろう)
ひがしっかた だけでも(東の方 だけでも)
早く 終わらせちまわねえとよ(終わらせてしまわないとさ)
お隣さんに 迷惑だあ(迷惑だ)」
●「〜な」=「〜な」
●「〜なあ」=「〜な」 |
★「踊ったなあ」「もう踊るな」などの、「〜な」の意味。用法は標準語と全く同じです
★イントネーションが標準語の「〜な」と違い、
常に「な」「なあ」に高いアクセントを付けて発音します(標準語の音程よりも高いです)。 |
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使用例:「なあ(ね?) うまいだんべえ?(美味いだろう?)」 ※同意を求める「なあ」
/「暇が ありゃあ(あれば) あたしも 行きてえなあ」(=行きたいな)
/「一緒に 行きてえよなあ」(=行きたいよね)
/「弱ったなあ」(=弱ったね)
/「ほうだあな(そうだな)」(=そうだな)
/「ほうだなあ(そうだな)」(=そうだよね)
/「危ねえから(危ないから) 近寄るなあ」(=近寄るのではないよ)
/「お父さんの わるっくちなんか(悪口なんか) 言うなあ」(=言ってはいけないよ)
/「良く遊び歩くなあ」
/「あそこの店で 安かったんべえな(安かったのだろうな)」
/「あたしは まだ ボケちゃあ(ボケては) いねえだあなあ」(=いないですよね?)
●「〜にゃ」=「〜には」
●「〜にゃあ」=「〜には」
★「僕には踊りがある」「オーディションには受かった」などの、「〜には」の意味。使い方は標準語と同じです。
使用例:「ここいらにゃあ スーパーが ひとっつも(ひとつも) ねえで(無いで=無くて)
まあったく(全く) 不便だあなあ!(不便だな!)」
/「夕飯は まだ だけんど(だけれど) 風呂にゃあ へえった(入った)」
/「あいつにゃあ もう うんざりだあよ(うんざりだよ)」
/「猫に やるにゃあ もったいねえから(勿体無いから) 結局 自分で 食ったあ(食った)」
/「電気屋にゃあ 随分と めえに(前に) 修理を 頼んだんだあでえ(頼んだのだぜ)
忙しいのか ちっとも 来てくれねえでよ(来てくれないでさ)
まさか 忘れてるんじゃ(忘れているのでは) あんめえな(あるまいな)」
/「寝るにゃあ 早すぎらあ(早すぎるわ)」
/「起きるにゃあ 早すぎらあな(早すぎるわな)」
●「〜べえ〜」=「〜ばかり〜」 ※範囲の限定
●「〜べえで〜」=「〜べえ+で〜」=「〜ばかり+で〜」=「〜ばかりで〜」 ※範囲の限定 |
★「踊ってばかりいる」「踊ってばかりで歌わない」などの、
範囲の限定を表現する「〜ばかり〜」「〜ばかりで〜」の意味。
★用法は標準語の「ばかり」「ばかりで」と同様ですが、
「〜べえ〜」「〜べえで〜」の前に動詞を置く場合は『連用形』のみが対象となります。
(動詞の『ウの段で言い切る連体形』に「べえ」を繋げると、
助動詞「〜だろう」を意味する八王子弁の「〜べ」「〜べえ」の表現になってしまいます)。
また、「〜べえ〜」「〜べえで〜」の前に形容詞を置く場合も『連用形』が対象となります
(形容詞の『「〜い」で言い切る連体形』に「べえ」を繋げると、
助動詞「〜だろう」を意味する八王子弁の「〜べ」「〜べえ」の表現になってしまいます)。
★「〜べえ〜」の後ろには、必ず動詞を含んだ連語が続きます。
標準語では「踊ってばかり。踊ってばかりよ。」などの様に文を終わらせる事が出来ますが、
八王子弁では助詞「ばかり」を意味しての「〜べえ。」「〜べえよ。」という言い方自体が存在しません。
(「〜べえ。」「〜べえよ。」で文を終わらせてしまうと、
助動詞「〜だろう」を意味する八王子弁の「〜べ」「〜べえ」の表現になってしまいます。)
ですので、標準語の「踊ってばかりいる。踊ってばかりいるよ。」の様に
八王子弁では「踊ってべえいる。踊ってべえいるよ。」と表現する事になります。
★「〜べえで〜」の後ろには、標準語「ばかり」と同様に文を続けて置くか、
助詞「な」「なあ」「よ」「よう」を付けて文を終わらせる事が出来ます。
(「〜べえで。」として終わらせる事はできません。)
★標準語であれば「〜ばかり〜」に連なる事の出来る品詞や活用形であるのに、
八王子弁「〜べえ〜」には連なって表現する事がない(出来ない)物が多々有ります。
そのような物は標準語の「ばかり」を使って八王子弁を構成させます。
(例えば、「踊るべえで観ねえ」「踊ってべえで苦しいべえだ」「踊らねえべえか興味がねえ」
という八王子弁は存在しないので、
「踊るばっかりで観ねえ」「踊ってべえで苦しいばっかりだ」「踊らねえばかりか興味がねえ」
と表現します。)
★「〜べえ〜」「〜べえで〜」のイントネーションは、「べえ」に高いアクセント取って発音します。 |
|
使用例:「毎日 イモべえ 食ってるだ(食ってるです=食ってます)」
/「“もしもし”べえ 言ってら(言ってるわ)
こっちの 声が 聞こえねえ(聞こえない) みてえだ(みたいだ)」
/「さっきっから(さっきから) 咳べえ してえるじゃんか(しているではないか)
おめえ(お前) でえじょうぶかよ(大丈夫かよ)」
/「たまには こっちっかたも(こちらの方も) 磨いてくれよう(磨いてくれよ)
そっちべえ きれえんなって(綺麗になって) バランスが わりいやな(悪いわな)」
/「日焼けしてもよ(日焼けをしてもさ)
赤くべえなって 黒くならねえのよ(黒くならないのよ)」
/「早さべえ 競ってるらしいで(競っているらしいぜ)
はやけや いいって もんじゃ ねえよな!(早ければ 良いって 物では ないよね!)」
/「あの犬は ヨダレを 垂らしてべえ いるなあ」
/「本を 読んでべえいて 目が 疲れねえのかよ(疲れないのかよ)
いちんちじゅう じゃんか(一日中 ではないか)」
/「会館には カラオケが ねえからな(無いからね)
アカペラでべえ 歌ってるだ(歌ってるです=歌っています)」
/「高校に へえってからは(入ってからは)
山田さんとべえ あすんでるよう(遊んでいるよ)」
/「おじいさんが 夢にべえ 出て来るんだあよ(出て来るのだよ)
不思議だあな(不思議だな)」
/「ここんとこ(ここのところ) おかぞが(おかずが) 野菜べえでよ(野菜ばかりでさ)
その内 ウサギにでも なっちまいそうだ(なってしまいそうだ)」
/「いつも 貰ってべえで すいませんね(済みませんね)」
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【余談】
八王子弁の中には、【助詞「〜べえ〜」】とは別に
「しよう」「だろう」の意味を持つ【助動詞「べえ」】があります。
助詞と助動詞の「べえ」両方を
一つの文章に入れて使うと次のようになります。
「犬が吠えてべえいるべえ?」(犬が吠えてばかりいるだろう?)
「ちいっとべえ貰うべえ」(少しくらい貰おう)。
|
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●「副詞+べえ〜」=「〜ばかり〜」 ※おおよその数量・程度 |
★「少しばかり踊る」などの、「〜ばかり〜」の意味。
おおよその数量・程度を意味する標準語「ばかり」と同じように、「〜べえ〜」の前に来るのは
数量を示す副詞になります。
★アクセントは「べえ」に高く取って発音します。 |
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使用例:「ちいっとべえで いいよ」=「少しばかりで いいよ」
/「ちっとべえ 貰ってけえるかな(貰って帰るかな=貰って帰ろうかな)」
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【余談】
「副詞+べえ〜」の表現で祖母が良く使うフレーズは、
「少しばかり」を意味する「ちいっとべえ」「ちっとべえ」だけしか有りません。
その他の副詞を当てたフレーズが八王子弁に存在するのかどうかは不明です。
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●「助動詞の仮定形+や」=「〜れば」
●「助動詞の仮定形+やあ」=「〜れば」
●「助動詞の仮定形+りゃ」=「〜れば」
●「助動詞の仮定形+りゃあ」=「〜れば」 |
★「彼を踊らせれば素晴らしい」「君が口を出さなければなお良い」などの、「〜れば」の意味。
★「〜や」「〜やあ」と「〜りゃ」「〜りゃあ」の意味は同じですが、
「〜りゃ」「〜りゃあ」の方が少々攻撃的な表現となります。
★八王子弁で「〜や」「〜やあ」「〜ゃ」「〜ゃあ」と表現する物は、
仮定形に繋がる助詞(「〜れば」の意味)の他に、連用形に繋がる助詞(「〜しは」の意味)が有ります。
双方全く同じ発音と形態を取るのですが、どちらの意味で使っているかは文脈で判断できます。【注1】
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使用例:「負けたあ奴を(負けた奴を)
走らせや/走らせやあ/走らせりゃ/走らせりゃあ(走らせれば)
よかねえか?(良くはないか?)」
※ 使役「させれ」+「ば」
/「そういう でえじな事はよ(大事な事はさ) 町中に
知らしめや/知らしめやあ/知らしめりゃ/知らしめりゃあ(知らしめれば)
いいじゃんかなあ(いいではないかねぇ)」
※ 使役「しめれ」+「ば」
/「あの 鈍感が(鈍感な人が)
察せや/察せやあ/察せりゃ/察せりゃあ(察せれば)
てえしたもんだけんどな(大したものだけれどね)」
※ 使役「せれ」+「ば」
/「おめえも(お前も)
食いたけや/食いたけやあ/食いたけりゃ/食いたけりゃあ
( 縮めて→ 食いたきゃ/食いたきゃあ)(食いたければ)
手伝え」
※ 希望「たけれ」+「ば」
/「何時だって 子供が
欲しがりゃ/欲しがりゃあ(欲しがれば)
くれてやってるよ(呉れてやってるよ=上げてやっているよ)」
※ 希望「たがれ」+「ば」
/「サイズが
合わなけや/合わなけやあ/合わなけりゃ/合わなけりゃあ(合わなければ)
うっちゃっちまったって(捨ててしまったって) いいんだ(いいのだ)」
※ 打消「なけれ」+「ば」
/「あの辺りへ
下りられや/下りられやあ/下りられりゃ/下りられりゃあ(下りられれば)
フキノトウが いっぺえ(いっぱい) 摘めんだけんど(摘めるのだけれど)」
※ 受身、可能、尊敬、自発「られれ」+「ば」
/「面と向かって(面と向かって)
聞かれや/聞かれやあ/聞かれりゃ/聞かれりゃあ(聞かれれば)
答えるしか あんめえな(あるまいな)」
※ 受身、可能、尊敬、自発「れれ」+「ば」
●「動詞の仮定形+ゃ」=「すれ+ば」=「すれば」
●「動詞の仮定形+ゃあ」=「すれ+ば」=「すれば」
●「動詞の仮定形(上一段、下一段活用のみ)+や」=「すれ+ば」=「すれば」
●「動詞の仮定形(上一段、下一段活用のみ)+やあ」=「すれ+ば」=「すれば」 |
★「踊れば元気になる」「踊る事をよせば治る」などの、「〜すれば」の意味。
★動詞の仮定形であれば全て「〜ゃ」「〜ゃあ」と続けて言う事ができます。
加えて、動詞の上一段・下一段活用の場合は「〜や」「〜やあ」と言う事もできます。
★「〜ゃ」「〜ゃあ」と「〜や」「〜やあ」の意味は同じですが、
「〜や」「〜やあ」の方が大人し目な表現になります。
★「〜ゃ」「〜ゃあ」を使う時には、仮定形の最後の一文字を変換させて
「〜きゃあ」「〜びゃあ」「〜みゃあ」などと表現します。【注2】
★上一段・下一段活用で「〜や」「〜やあ」を使う時には、
仮定形の最後の一文字「〜れ」を抹殺して「〜や」「〜やあ」と続けます。
★八王子弁で「〜や」「〜やあ」「〜ゃ」「〜ゃあ」と表現する物は、
仮定形に繋がる助詞(「〜れば」の意味)の他に、連用形に繋がる助詞(「〜しは」の意味)が有ります。
双方全く同じ発音と形態を取るのですが、どちらの意味で使っているかは文脈で判断できます。【注1】
|
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使用例:「通りすがった人が 助けてくれてよう(助けてくれてさ)
なめえを(名前を) 聞きゃあ(聞けば) 良かった」
/「その 上っ張りを(上着を) 脱ぎゃあ(脱げば) 涼しく ならあな(なるわよ)」
/「梅干しっちゅうのはよう(梅干しと言うのはさ)
漬けたあ後に(漬けた後に) 干しゃあ(干せば)
皮が やっこく(柔かく) なるんだあで(なるのだぜ)」
/「勝ちゃあ(勝てば) いいってもんでも(良いと言う物でも) ねえけんど(ないけれど)
あの賞品は ちょいっと(ちょっと) 魅力的だあな(魅力的だな)」
/「コロッと 死にゃあ(死ねば) 楽で いいけんど(いいけれど)
そう上手くは 行かねえもんだ(行かない物だ)」
/「あたしが 呼びゃあ(呼べば)
寄って 来るで(来るぜ)
ようっ(おいっ)
ミーちゃん
こっちい(こっちへ) 来な」
/「この本を 読みゃあ(読めば) 金持ちに なれるんだとよ(なれるのだとさ)
うそくせえだんべ(嘘くさいだろう)」
/「じいさんの 耳に 入りゃあ(入れば) その日の内に
おめえの(お前の) 首は もう 繋がっちゃあ(繋がっては) いねえで(いないぜ)」
/「惜しいじゃんかなあ(惜しいではないかねえ)
あと じっぷん(十分) 早く くりゃあ(来れば)
プレゼントを 貰えたらしいんだあよう(貰えたらしいのだよ)」
/「スカーフを こうすりゃあ(こうすれば) 良かんべ(良いだろう)
ほれ(ほら) みつくれ(見てくれ)
こいで(これで) どうよ(どう?)
ええ? まあだ(まだ) 下着が めえてるか?(見えてるか?)」
/「さぶいんなら(寒いのなら) その 腰い(腰に) 巻いてるやつを
着りゃあ/着やあ(着れば) いいじゃんかなあ!(いいではないかな!)」
※上一段活用
/「九十も 過ぎりゃあな/過ぎやあな(過ぎればね)
兄弟も 友達も みんな 死んじまって(死んでしまって)
つまらねえよ(詰まらないよ)」
※上一段活用
/「通るたんびい(通る度に) 足い(足を) ぶっけて(ぶつけて)
邪魔で 仕方なかったんだあよ(仕方なかったのだよ)
早く どけりゃあ/どけやあ(退ければ) 良かったんだな」
※下一段活用
/「へえ、 ほうか(そうか)
二種類の 味噌を 混ぜりゃあ/混ぜやあ(混ぜれば)
こうに(このように) 旨くなんのか(美味しくなるのか)」
※下一段活用
/「あんとき(あの時) 助けりゃあ/助けやあ(助ければ)
ここまで おおごとにゃあ(大事には) ならなかったと 思うで(思うぜ)
今更 言ったって おせえけんど(遅いけれど)」
※下一段活用
●「形容詞の仮定形+ゃ」=「〜けれ+ば」=「〜ければ」
●「形容詞の仮定形+ゃあ」=「〜けれ+ば」=「〜ければ」
●「形容詞の仮定形+や」=「〜けれ+ば」=「〜ければ」
●「形容詞の仮定形+やあ」=「〜けれ+ば」=「〜ければ」
|
★「苦しければ踊るのを止めろ」などの、「〜ければ」の意味。
★形容詞の仮定形であれば全て「〜ゃ」「〜ゃあ」「〜や」「〜やあ」と続けて言う事ができます。
★「〜ゃ」「〜ゃあ」と「〜や」「〜やあ」の意味は同じですが、
「〜や」「〜やあ」の方が大人し目な表現です。
★「〜ゃ」「〜ゃあ」を使う時には、仮定形の最後の一文字を変換させて
「〜きゃあ」「〜びゃあ」「〜みゃあ」などと表現します。【注2】
★「〜や」「〜やあ」を使う時には、仮定形の最後の一文字「〜れ」を抹殺して「〜や」「〜やあ」と続けます。 ★八王子弁で「〜や」「〜やあ」「〜ゃ」「〜ゃあ」と表現する物は、
仮定形に繋がる助詞(「〜れば」の意味)の他に、連用形に繋がる助詞(「〜しは」の意味)が有ります。
双方全く同じ発音と形態を取るのですが、どちらの意味で使っているかは文脈で判断できます。【注1】
|
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使用例:「そんだけ(それだけ) 硬けりゃ/硬けや(硬ければ)
おっぽって(放って) 投げちまっても(投げてしまっても))
ぼっかあれや(壊れは) しねえんじゃねえか?(しないのではないか?)」
/「籠に へえってんのと(入っている物と)
おんなしくれえ(同じくらい) 赤けりゃあ/赤けやあ(赤ければ)
収穫時だあから(収穫時だから) もいじまってくれ(もいでしまってくれ)」
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【注2】
『動詞の仮定形』と『形容詞の仮定形』に「〜ゃ」「〜ゃあ」を続ける場合、
仮定形の最後の一文字を変換させて
「〜ゃ」「〜ゃあ」と続けます。
最後の一文字が
【か行】の場合は→「きゃ」「きゃあ」
【が行】の場合は→「ぎゃ」「ぎゃあ」
【さ行】の場合は→「しゃ」「しゃあ」
【た行】の場合は→「ちゃ」「ちゃあ」
【な行】の場合は→「にゃ」「にゃあ」
【ば行】の場合は→「びゃ」「びゃあ」
【ま行】の場合は→「みゃ」「みゃあ」
【ら行】の場合は→「りゃ」「りゃあ」
と変換して表現します。
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●「助動詞の連用形+や」=「〜は」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。
●「助動詞の連用形+やあ」=「〜は」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。
●「助動詞の連用形+ゃ」=「〜は」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。
●「助動詞の連用形+ゃあ」=「〜は」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。
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★「大舞台で踊りたがりはしないよ」「舞台に立たせはしない」「〜は」の意味。使い方は標準語と同じです。
★助動詞によって「〜や」「〜やあ」か「〜ゃ」「〜ゃあ」のどちらかを使います。
ただし、「たがり」のみは両方使えます(以下参照)。
★「〜や」「〜やあ」と「〜ゃ」「〜ゃあ」の意味は同じもので、表現に善し悪しはありません。
★八王子弁で「〜や」「〜やあ」「〜ゃ」「〜ゃあ」と表現する物は、
連用形に繋がる助詞(「〜は」の意味)の他に、仮定形に繋がる助詞(「〜れば」の意味)が有ります。
双方全く同じ発音と形態を取るのですが、どちらの意味で使っているかは文脈で判断できます。【注1】 |
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使用例:「分かってらあな(分かっているわな)
あの人には 見させやあ(見させは) しねえよ(しないよ)」
※使役「させ」+「は」
/「まさか みんなんじゅうに(皆に) 知らしめやあ(知らしめは) しめえ?(しないだろ?)」
※使役「しめ」+「は」
/「やつぁあ(奴は) 鈍感だあから(鈍感だから) 察せや(察せは) しねえべ(しないだろ)」
※使役「せ」+「は」
/「誰も 食べたがりゃ/食べたがりや(食べたがりは) しねえな(しないな)」
※希望「たがり」+「は」
/「あれのようにゃあ(あの人の様には) なりたくねえ(成りたくない)」
※推量・比況「ように」+「は」
/「こんな 急な さかあ(坂) 怖くって(怖くて)
下りられや/下りられやあ(下りられは) しねえだあ!(しないです!)」
※受身・可能・自発・尊敬「られ」+「は」
/「こうしときゃ(こうしておけば)
誰にも 聞かれやあ(聞かれは) しねえだんべ(しないだろう)」
※受身・可能・自発・尊敬「れ」+「は」
●「動詞の連用形+や」=「し+は」=「しは」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。
●「動詞の連用形+やあ」=「し+は」=「しは」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。
●「動詞の連用形・五段活用(一部を除く)+ゃ」=「し+は」=「しは」 ※後ろに必ず「しない」と続きます。
●「動詞の連用形・五段活用(一部を除く)+ゃあ」=「し+は」=「しは」※後ろに必ず「しない」と続きます。
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★「踊りを休みはしない」「気に掛けはしない」などの、「しは」の意味。
★動詞の連用形であれば全て「〜や」「〜やあ」と続けて言う事ができます。
★五段活用動詞の場合は「〜ゃ」「〜ゃあ」と言う事もできます。
ただし、最後の文字が「あ行」で終わる場合は「〜ゃ」「〜ゃあ」では繋げられません。
★「〜や」「〜やあ」と「〜ゃ」「〜ゃあ」の意味は同じですが、
「〜りゃ」「〜りゃあ」の方が少々攻撃的な表現となります。 ★八王子弁で「〜や」「〜やあ」「〜ゃ」「〜ゃあ」と表現する物は、
連用形に繋がる助詞(「〜しは」の意味)の他に、仮定形に繋がる助詞(「〜れば」の意味)が有ります。
双方全く同じ発音と形態を取るのですが、どちらの意味で使っているかは文脈で判断できます。【注1】 |
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使用例:「いっくら(いくら) 待っても バスが 来やしねえで(来はしないで=来ないで)
途方に 暮れちまったあ(暮れてしまった)」
/「電話なんか しやあしねえよ(しはしないよ)
おめえに(お前に) 用なんか ねえもの(無いもの)」
/「まさか バイクの後ろに 子供を 乗せやしめえ?(乗せはしまい?)
あぶねえから(危ないから) ぜってえ(絶対) よせえ!(止せ!)」
/「どけえ(何処へ) やっちまったんだかなあ(やってしまったのだかねえ)
手裏剣なんて あんな あぶねえもの(危ない物)
簡単に 捨てやあしねえ(捨てはしない) はずなんだけんど(はずなのだけれど)」
/「着物なんか もう 着やあしねえけんど(着はしないけれど)
うっちゃっちまうのも(捨ててしまうのも) 惜しいやな(惜しいよな)」
/「落ちやしねえかと(落ちはしないかと) ヒヤヒヤして 見てたあ(見てた)
心臓に わりいや(悪いわ)」
/「誰か 仏様に上げたあ(仏壇に お供えした) 饅頭を
食いやしねえか?(食べはしないか?)
カビてえる みてえだったからよ(カビている みたいだったからさ)
うっちゃっちまおうと(捨ててしまおうと) 思ってたあのに(思っていたのに)
ねえ(無い)」
※「あ行」で終わる五段活用
/「あんくれえの事じゃあ(あのくらいの事では)
死にや/死にゃあ(死には) しねえんだと(死にはしないのだって)」
※五段活用
/「転びや/転びゃあ(転びは) しねえよ(しないよ)
すんでのところで(既のところで) てすりい(手摺を) 掴んで 助かった」
※五段活用
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【注1】
八王子弁で「〜や」「〜やあ」「〜ゃ」「〜ゃあ」と表現する
『〜しは(連用形)』と 『〜れば(仮定形)』を
両方使って文を作ると次のようになります。
「丸太んぼの まんまじゃあ 燃えやあ しねえよ。そいが 燃えやあ てえしたもんだあ。」
(丸太の ままでは 燃えは しないよ。それが 燃えれば 大したものだ。)
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●「〜よう」=「〜よ」 |
★「なんと愉快な踊りよ」「恥ずかしいから見ないで下さいよ」などの、「〜よ」の意味(感嘆、呼びかけ)。
★標準語「〜よ」の全てが八王子弁「〜よう」で表現される訳ではなく、
標準語の「〜よ」も「〜よう」と共に会話中で使われます。
★イントネーションが標準語の「〜よ」の用法と違い、 標準語「よ」よりも高い音程で「よう」を発音します(常に相手に訴えかける感じのイントネーション)。
また、標準語で表現される、「よ」を低く発音するイントネーションは「〜よう」では使われません。 |
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使用例:「全くよう
どこもかしこも 潰れちまってなあ(潰れてしまってな)
あんなんじゃあ(あんなのでは) もう
商店街たあ(商店街とは) 呼べねえな(呼べないな)」
/「ほうだよう(そうだよ)
大空襲ん時にはよ(大空襲の時にはさ)
おじさんは 位牌を かけえて(抱えて) 逃げたんだあで(逃げたのだぜ)」
/「あんだよ(何だよ) 先い(先に) 言ってくれよう!
薄めねえで(薄めないで) 半分 飲んじまったよう(飲んでしまったよ)」
/「ああ 困ったよう
こけえらに(ここいらに) 便所は ねえかな(無いかな)」
/「そんなあ(そんな) 値段で 売ってたの!? 安いよう!」
/「一緒に選びに行こう ったって(一緒に選びに行こう と言ったって)
こかあ(ここは) 日本じゃねえんだからよう(日本ではないのだからよ)
荷を置いたまんま 席を 離れちゃっちゃあ(離れてしまっては)
盗られちまうだあよう(盗られてしまうですよ=盗られてしまいますよ)」
/「まだ ボケちゃいねえよう(ボケてはいないよ)」
/「もう 残りが 少ねえだあよう(少ないですよ)
おちつかねえから(落ち着かないから) 補充しとくべ(補充しておこう)」
/「籠から出して あすんでも(遊んでも) いいけんどよ(いいけれどよ)
ピーちゃんを 外へは おっぱなすなよう(放すなよ)
あっ!
言ったさきっから(言ったさきから=言ったそばから)
おっぱなすなよう!!(放すなよ!!)」
/「カメさんよう
どけえ(どこへ) 行くのよ」
/「肥だめに おっこっちまっただあよう(落ちてしまったですよ=落ちてしまいましたよ)」
/「感謝しろよう
おじいさんの おかげで 今が あるんだあからよ(あるのだからよ)」
/「止せよう!
4人も おっかぶさったら(被さったら)
兄ちゃん(俺) ぴっちゃんこに(ぺっちゃんこに)
なっちまうじゃんかなあ!(なってしまうではないかな!)
止してくれよう!」
/「おめえよう(お前よ)
しそっぱが(紫蘇の葉が) ほしけやあ(欲しければ)
もいで 持ってけよ(もいで持って行きなよ)」
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●「助動詞の仮定形+りゃ」 → 「助動詞の仮定形+や」 をご覧ください。
●「助動詞の仮定形+りゃあ」 → 「助動詞の仮定形+や」 をご覧ください。
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